[会長ブログ ― ネコの目]
いくさ

近々、花戦<ハナイクサ>という映画が封切られます。
戦国時代の京の街、紫雲山頂法寺<チョウホウジ>というお寺があります。関西では、旧盆の8月13-15日の間、観世音菩薩が衆生を救う際に33のお姿になられたとの信仰に基づく、近畿2府4県と岐阜県にある33のお寺をめぐる御詠歌を、仏壇の前で詠えますが、頂法寺は、その西国三十三カ所の第18番目の札所です。本堂の形から、通称六角堂と呼ばれていますが、このお寺の元祖ご住職が華道池坊流というよりは、華道の元祖専好師です。この方にまつわるお話が、映画になった由。あらすじは、天下の太閤秀吉が、千利休に切腹を命じた後、加賀百万石前田利家邸の大広間で、猿が戯れる画を背景に巨大な松を生け、かつての主君織田信長から「サル」とよばれた秀吉を諌めたということが主題です。いくさに武器はつきものですが、花によって戦<イクサ>に勝利をおさめたという、はやり言葉的にはまことにスピリチュアル、日本文化的な優雅ないくさの勝利です。

花にまつわる西洋の戦では、ばら戦争があります。15世紀中庸のイングランド、ともにエドワ-ドIII世の流れを継ぐランカスター家とヨーク家が権力争いした際、前者が赤いバラ、後者が白いバラを記章にしていたので、そう呼ばれたとされていますが、実際の戦いの場では、武器が使われているはずです。そして、この頃のヨーロッパでは、百年戦争とか30年戦争とか、長い戦争状態が続いていました。

そのヨーロッパでは、中近東からの避難民受け入れが首長選挙の大きな争点となっており、アメリカでは隣国との間に塀を作る話も、まだ、解決していません。どちらも、不法に国境を超えることを防ぎたい意向ですが、そもそも、何故、人々がヨーロッパやアメリカを目指すのか、です。中東は、果てしない紛争が続き、アメリカではあまりに顕著な経済格差があります。

中東一帯では、国と国が戦う戦争ではなく、国を名乗っているものの、国際的に国家と認知されてはいない「イスラム国」関連の地域紛争が主体です。イスラム過激派ともよばれるこの集団は、イラクとシリアを拠点に生まれ、ISIS<Islamic State of Iraq and Syria>とも名乗っていますが、そのシリアを国名とするシリア・アラブ共和国は、国家政府と反政府の激しい対立が続き、大統領勢力が及ぶ地理的面積は「イスラム国」よりも狭いほどですが、解決の糸口もない様に見えます。これらの地域には、近代的武器産業の工場、つまり武器の生産能力はないはずなのに、多様で破壊力の大きな武器武力が延々と行使されています。誰が、何のために、武器を提供しているのでしょうか?

破壊された建物、かつては瀟洒だった建物の壁一面の銃痕、そのような環境で育つ子どもたちが、全員が悪い人間になるとは思いませんが、いくさのほかに従事する仕事がないという社会の在り方を変えられないまま時間が流れています。武力に対し武力を行使するが故に、いくさは拡大し、さらに破壊力の大きな武器が必要になる。そして、行き着くところは核兵器、あるいは貧者の最終的武器とも云われるテロ。

そんな紛争地の若者に、平和な日本を見て欲しいと思います。
が、今や、ヨーロッパで問題となっている一匹狼テロリストの多くがイスラム国などの影響を受けていることを思えば、そのような地域の人々を招きいれることは日本にとってリスク・・・という考えは、ヨーロッパのポピュリズム、右傾化傾向とも同じ考えかも知れません。ならば、花戦<ハナイクサ>のような、雅やかなことごとを、それらの地に持ち込むことは不可能でしょうか。

遠い昔、日本のお祭り、アニメを難民の子どもたちに見せたい、ついでにお饅頭をお腹いっぱい食べられる日が作れないかと思ったことがありました。仲間には一笑に付されましたが、立花で敵をやっつける発想の日本人になら、出来そうな気がします。如何でしょうか?