[会長ブログ ― ネコの目]
うだつが上がっている人々

やや古い言葉のような気もしますが、「うだつが上がる」とか、「うだつが上がらない」とか申します。若いころ、うだつが上がらないといわれるのは、ぼんやりと「さえない」とか「見栄えが悪い」という雰囲気を察知してはいましたが、さて、その「うだつ」とは何なのでしょう。

学生時代から新米医師の頃、盆踊りに凝って、各地をめぐったことがありました。数年間、熱心に通ったのは、一夏中、街の中が盆踊り一色になる岐阜県の「郡上踊り」でした。古い屋並み、ここで、隣りあう家と家の間、屋根と屋根の間に、小さな塀のような仕切りがあって、それを「袖うだつ」というのだと教わりました。つまり、一階の屋根の上で、お隣様との境界を示す塀とでも申しましょうか。古い江戸時代の絵には、その「うだつ」が見える立派な長屋が描かれたものがあります。それらの家々は、皆、うだつが上がっていたのでしょう。

では、なぜうだつを上げたのか?
まずは、お江戸の華であった火事の際の防火壁だったとか、強風で屋根が飛ぶのを防いだとかもありますが、次第に装飾的になったとも云われています。特に、江戸時代中期以降、各地で商業が繁栄した頃には、大通りに面する店々では、装飾性を強め、次第に派手々々しくなった、広告用のネオンサイン的役割もあったのかもしれません。
お金持ちが立派な「うだつ」をつける、「うだつ」がある家はお金持ち、うだつが上がっている次第となったのでしょう。これが高じて、大屋根の両側に、金のしゃち鯱<シャチホコ>風に、鴟尾<シビ>とよばれる魚の尾っぽ風の飾りを置くことがありますが、これもうだつの一種と聞いたことがあります。本当でしょうか?が、魚の尻尾を屋根に飾る理由は、魚のいるところは水の中ですから、火事除けの意味があったとか。さらにも一つ「?」付の話ですが、うだつという漢字は「梲」ですが、その木偏の上に、「ノ」をつけると税になります。うだつが上がって、屋根の上に飾り「ノ」が付く家は税金を払うとか・・・白川静先生の漢字の歴史を学ぶまでもなく眉唾ですが、面白い説ですね。

前置きが長くなりました。3月25日には青森県十和田市で、「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」三期生の太田緑氏が、26日には、名古屋市緑区で同二期生木村いずみ氏が、30日には、一期生で既に在宅看護センター開業の大槻恭子氏が新たに看多機(小規模看護多機能居宅介護センター)を、年度が替わって4月1日は、北海道帯広市に隣接する音更<オトフケ>町では三期生片岡順子氏が、そして昨日4月2日には群馬県前橋市で、二期生高橋佳子氏が、それぞれ地元の方々を招いての開業式を開かれました。これで、合計26の在宅看護センターと二つの看多機が、日本財団在宅看護センターネットワークの下に稼働することになりました。
事務所がマンションといった、新しい建物であることもありますが、地方の古い住宅を活用しての開業もあります。ふと見上げると、鴟尾・・・うだつモドキが青空に輝いて見えました。
24時間、365日、各地域の健康と、安心・安全を支える26人、そしてこれから開業を目指す9人、そのすべての仲間は、すべからく、大いに「うだつが上がった」人々です。ご活躍を祈ります。

うだつモドキの鴟尾

うだつモドキの鴟尾