[会長ブログ ― ネコの目]
「在宅」看護と「訪問」看護師

私ども笹川記念保健協力財団は、2014年から、日本財団の支援を得て、「在宅看護センター」を安定的に継続運営できる起業家看護師の研修事業を始めています。HP(http://www.smhf.or.jp/hospice/zaitaku/)に記載していますように、今までに35名が研修を修了し、29名が開業しています。

事業タイトルを「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」と銘うった理由です。まず、大きなアンブレラ(傘)としての私どもの親財団日本財団からは、資金的またさまざまな便宜とモラル支援を頂いていますので、それを頭においた「在宅」看護センターネットワークの構築を目指す意向を示しています。ただし、ネットワークは排他的なものではなく、また、何ら各センターの活動を規制するものでもなく、同じ釜の飯を食べた仲間の、緩やかな連携体です。将来の発展を共に意図し、また、当財団としても、日本財団とともに、出来る支援を行うための、超緩やか連帯です。

ついで、「訪問看護」ではなく「在宅看護」を使った理由。これは多少の検討を致しました。診療の一線では、訪問看護、訪問看護師という言葉を耳にすることも多かったのですが、教育施設、大学では「在宅」看護を標榜しているところが多いというよりほとんどでした。

次いで学会です。医療に深くかかわる医師と看護師の学術分野には、それぞれ同様の学会があります。小児科学会と小児看護学会の類いです。在宅を標榜する学会には、日本在宅医療学会、日本在宅ケア学会、日本在宅医学会そして日本在宅看護学会がありました。在宅関連分野だけでなく、緩和医療・ケア関連の学会では、多職種が混然一体で、関心がなければ、また、必要でなければ、自発的に会費を払ってまで、侵入することはありませんが、今や、医師のみとか、看護師以外は排除するといった差別的なことは無視して良いと思います。そして、これらの分野は、狭く深い専門性とは異なる広い範囲に関わる学際的な専門分野と考えられます。もちろん、一方には医学や看護学のそれぞれの特性を顕著に示す分野もあり得ます。迷いました。実践の場では、訪問看護という言葉が広いし、教育や学術的集会では在宅・・・どちらを使うか、ホント迷いました。

次に外国、英語はどうか、です。色々ありましたが、結論的に申しますと、Home Care NursingつまりHome家庭におけるCareケアのためのNursing看護が一般に広く使われ、ここではHomeがキーワードと判断しました。つまり在宅での看護です。

最後に、患者中心の医療/看護です。訪問看護といった場合は、看護師が訪問するイメージに対し、在宅看護といった場合は、家にいる病者、つまり患者中心のイメージにつながる・・・と、大いに苦しい言い訳的理解を加えて、「在宅」看護のための拠点センターという命名に致しました。在宅で療養する人々の許に、訪問看護師が訪れて行う看護・・・という訳です。

今頃、なぜ、こんなことを取り上げたかと申しますと、目下、標記研修の4期生15名は、数日を残すだけの講義を終えますと、1月中旬、起業計画の発表に入ります。いわば卒業研究の発表です。めでたくクリアした後、1月19日には、日本財団笹川陽平会長のご臨席を賜り、修了証書が授与されます。そこからは一人の起業家として、社会と対峙します。

手前味噌ですが、この研修では、錚々たる、実に素晴らしい講師方から、長年のご研鑽の成果とご経験に裏打ちされた英知を、惜しみなく頂けます。

・・・のに、まだ知られていないのは、広報が下手だとご指摘を受けました。その一つに在宅看護よりも、訪問看護のほうがネット上では行き渡っているのではないか、HPなどに、是非、訪問看護の文字を散りばめるべきだとの忠告もありました。

そのご提言を受けて、HPにはこれから、在宅看護と訪問看護を併記するように致します、という次第です。実態は同じなので、どうでも良いように思いますが、新規事業のブランド名は、名は体を表しますので、重要だと思って、真剣に考えた結果・・・ですが、より多くの方々にご関心を持って頂くためには、広報に力を入れるべき、ここは素直に修正致します。

ただ、「在宅」看護を標榜していますが、「訪問」看護を名乗っておいでの方々、施設を排除したり、対抗したりする意図は毛頭ありません。一緒に、今後の日本の地域社会を支え、人々のニーズに応え、安心と安全を保障できる看護師が増えて欲しいと願っていることに変わりはありません。

目下。次年度5期生募集中です。広報よろしくお願い致します。