[会長ブログ ― ネコの目]
3冊の本 その2

2冊目は、=あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか=という、ちょっとドッキリする副題の付いた「10万個の子宮」村中璃子氏の著書です。知る人ぞ知るではありますが、2017年のジョン・マドックス賞の受賞者です。

まず、ジョン・マドックス賞は、サー ジョン・ロイデン・マドックス(Sir John Royden Maddox 1925.11.27-2009.4.12)に由来します。この方はイギリスの生物学者であり、また、サイエンスライター(科学作家)です。マドックス先生が計22年間も編集者を務られた“Nature(ネイチャー)”という総合的科学雑誌は、1869年に、天文学者ノーマン・ロッキャーが創刊したものですが、マドックス編集長は、これを世界的権威ある科学雑誌にしたと評価されているそうです。ネイチャーの日本語版にも、その追悼記事があります。

さて、マドックス氏が2009年に亡くなった後、その功績を鑑みて、氏の友人たちが、「たゆまぬ努力と熱意で科学を護り、多くの人々が、困難な議論にも関与できるように勧めた人を顕彰する(The John Maddox Prize recognises the work of individuals who promote sound science and evidence on a matter of public interest, facing difficulty or hostility in doing so.)ために、この賞を創設しました。

その6人目、日本人で初めてが村中璃子氏というわけです。この賞そして日本人女性が受賞したことは、昨年11月末から12月初頭にかけ、所用で訪問したロンドンで、かつて勤務した看護大学の卒業生Sayoさんから教えられました。日本では、ニュースにはなっていなかった時期でした。

で、出版前予約とともに、かつて親戚の若い女性たちから、このワクチン接種の是非を問われたりしたこともあって、改めて、子宮頸がんワクチン接種のその後を調べてみました。割合華々しく始まった予防接種だったが、接種後、多様な神経症状を訴える若い女性たちが「多数」でたことで、政府は積極的接種を進めなくなったと記憶していました。それは、間違っていませんが、世界の多数国では、接種が常識的になってるのに、何故、日本だけが・・・という意見、それでもワクチン接種が原因と考えられる症状に苦しむ若い女性が存在するという研究者や医師・・・の対立。

2018年1月13日、日本産婦人科学会が「HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種勧奨の早期再開を求める声明」を発出していますが、政府(厚生労働省)のホームページの情報を読んだ限りでは、「積極的」に受けるかどうかは大いに迷います。

村中本も、やはり、evidence証拠とは何か、ある事象を、科学的にどう評価するかという、根幹の問題を冷静にご覧になっているのでしょう。けど、子宮頸がんワクチンそのものを含め、賛否両論、色々な意見があることは事実。マドックス賞にも、ワクチンにも、その予防接種にも、そしてこの書籍にも反論がある!!誰もが、何に対しても、自由に発言できることは大いに是とすべきですが、その中で、正しいあるいは適切な科学的根拠に基づいた自分の意見を持つことの難しさ、そしてさらにそれを適正に発信することの難しさをつくづく感じさせられる、しかし興味深い科学書です。

無題