[会長ブログ ― ネコの目]
3冊の本 その3

そして、3冊目は、「AI vs 教科書が読めないこどもたち」です。

国立情報学研究所教授新井紀子氏の、衝撃的な近著です。前半、AIつまりartificial人工のintelligence知能とは何か、難しそうなことを、実に判り易く解説されていますので、丁寧に読めば、ちゃんと判る。そしてAIとは何者かを理解できれば、ちょっとホッとします。

新井紀子先生は、有名な東ロボくんプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」のリーダーです。それに興味をそそられ、取っつき難い先入観もありましたが、数学ご専門の新井先生のご著書に手を出しました。最初は『生き抜くための数学入門』2011年出版、それに触発されて2009年出版の『数学は言葉』も拝読。もっと若い時に、いえ、もっともっともっと若い時に読めば、私の人生は変わっていたかも・・・と思いました。

 

閑話休題。

本の前半の論旨は明快。AI(人工知能)と云えども、本質的には計算機に過ぎない。だから、皆がはやし立てるシンギュラリティ(<Technological> singularity:<技術的>特異点)は到来しないし、AIが人類を滅ぼすこともないし、ましてAIが神になることはないと、キッパリ断言されます。シンギュラリティとは、いわゆる人工知能の出現により、人間の知性が完全機械化され、さらにその機械自身が自律的進化を遂げ、加速度的成長から人間が築き上げた文明を凌駕し、それまでの人間と知能でやってきたことが限りなくゼロに見える程大きな変化が生じる日が来るという、幸いにして、まだ、「仮説」です。シンギュラリティを信奉する?マレー・シャナハンによれば、意識や知能は、デジタルで完全再構築可能という説(『シンギュラリティ』マレー・シャナハン NTT出版)ではどうなるのかと思っていましたが、ホッとしました。ところがどっこいです。

MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)と呼ばれるレベルの大学の合格ラインを突破しているものの、東ロボくんは東大は無理とされた同プロジェクトから導き出された結論、それが後半部分、震撼させられました。

中学や高校の教科書の文章が意味することを、正しく読み取れない子どもが少なからず存在することです。この教科書が読み取れない、つまり基礎読解力が修得できていないと他の教科も無理というエビデンスが並んでいます。暗記や山勘で点を稼ぎ、受験を終えたでは、AIに負けます。読解力の不備がどれほど負の効果を示すかの事実が解説され続けます。数学者ですから、論理的なグラフや相関係数で示されますので、納得です。

結論的に申しますと、AIに勝つには、論理的基礎読解力をつけることに尽きます。それが、単に、国語の問題でなく、すべての教科、学問において、記載されている科学的事実や問題を正しく読み取れなければ先はない、当たり前と云えば、当たり前ですが。

暗記やまぐれ当りで稼いだ良い成績には継続性はありません。そして、AIは、計算機に過ぎないにしても、いったんプログラミングすれば、文句も言わずに、延々とやり遂げます。基本的な読解力が無い人が、惰性で流しているような仕事は、近い将来AIに取って代わられると、ある意味、恐ろしく、そして当然な未来を、この本は示しています。

女性は、右脳型で、感覚的で、共感型で、非理性的との俗説?もありますが、これら論理的で理路整然の3冊の本の3人の著者は、特別なのでしょうか・・・

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