[活動レポート ― ホスピス緩和ケア]
看護の現場におけるスピリチュアルケアとは?

看護の現場におけるスピリチュアルケアとは?

~第16回日本財団ホスピスナース研修会~

 2017年3月3日、質の高い緩和ケアを実践できる看護師の育成を目指し、認定看護師教育課程(緩和ケア・訪問看護)などの研修修了者を中心とした「日本財団ホスピスナースネットワーク」の研修会を、ホスピスナースの代表であるプログラム委員の企画・運営により開催、全国より約100名が集まりました。

 今回の研修会では、日常の現場での患者・利用者、その家族と向き合う中で、これでいいのか、もっと何かできるのではないか、悩み戸惑うことが多いと感じている「スピリチュアルケア」をテーマに取り上げ、本研修会としての「看護の現場におけるスピリチュアルケア」の定義化を目指しました。

 研修はまず、グループワークから始まりました。事前課題を通して各々が前もって整理していた「コミュニケーション」や「スピリチュアルケア」に関する事例や悩みなどを共有しました。

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グループワークで方向性を示す講師

続いてチャプレンであられるお二人の講師より講演をいただきました。

講演Ⅰ「スピリチュアルケアとは」小西 達也(武蔵野大学教授・日本スピリチュアルケア学会理事)

小西先生からは、「スピリチュアルケア」の定義付けについて、望まれながら、絶えず検討されつつも、統一的定義が見出されないまま現代に至っており、容易でないとしながらも、患者だけでなく一般の人へ明確に説明ができるように定義を考えることの重要性を説明いただきました。またケア提供者個人の人間観やあり方がケアに大きく影響すること、そして、患者が生きる価値を見いだせない苦しみ(スピリチュアルペイン)にいる時、自ら納得のいく「生き方」の発見と「実現」を図ることをサポートする意味合いで、「スピリチュアルケア」を「自己実現のサポート」と捉えることができるとお話しいただきました。

講演Ⅱ「医療現場からみるスピリチュアルケア」   清田 直人(社会医療法人栄光会 栄光病院 チャプレン)

冒頭、清田先生は「スピリチュアルペインは取り除かなければならない苦痛ですか?」と私たちに語りかけました。スピリチュアルペインは、「自分らしくない」自分を、生きていかなければならない際に経験していく苦悩であるが、真の自分になる契機であり、真の自分を全うするためには自己が承認されること、拠り所となる「関係」の存在が必要であり、自分・他者・秘的存在(宗教など)との関係を示されました。そして最後に、ケア提供者に求められる姿勢のひとつとして、「燃え尽きてもいけないし、冷めていてもいけない。燃えつきない程度にいつまでも燃え続けていく、炭火のような心を持ちたい」と語られました。

続く2回目のグループワークでは、二つの講演を受け、参加者それぞれが新たな視点を持ち、「スピリチュアルケア」の定義を話し合いました。講師が各グループをラウンドし、方向性を示す場面もあり、活気に満ちたワークとなりました。その後のふりかえりで発表された15グループそれぞれの定義は、各グループの個性が反映され、それぞれに存在感のあるものとなり、講師によるレクチャーを通し次の4つのポイントが見出されました。

①自分らしさ/ありのまま/その人の生き方 ②敬う/信頼/認める ③共に/寄り添い/援助 ④プロセス/過程

これらを踏まえ、さらに会場全体でのディスカッションを重ね、キーワードを集約化する作業を進めました。そしてついに参加者全員の総意として、本研修会での定義が決まりました。

講師によるレクチャー 左:小西 達也先生 右:清田 直人先生

講師によるレクチャー
左:小西 達也先生 右:清田 直人先生

 

 

 

 

 

 

 

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定義化へ向けたディスカッション

スピリチュアルケアとは ~その人のあるがままを信じて認めて、「その人らしく」生きることを支え続けること(寄り添うこと)~

9時開始18時終了と長時間に渡った研修、加えて、事前課題の導入など、受講者にとってハードな研修となりましたが、受講後のアンケートでは、前もって自分の考えを整理し言語化していたこと、講師によるグループワークの方向性の提示など、最終的に定義へと導かれ、達成感と深い理解を習得する機会であったと多くの方に評価いただきました。今後もこの日本財団ホスピスナースネットワークならではの研修を提供できるよう、事業を進めていきたいと思います。

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一丸となって研修会に臨んだ講師・プログラム委員

 

 

[活動レポート ― 在宅看護センター]
3期生初の開所式「なにわ訪問看護ステーション」

2月25日、雲一つない青空の下、日本財団在宅看護センター起業家育成事業3期修了生の田中千津子さんの「なにわ訪問看護ステーション」の開所式が執り行われました。

ステーション名は田中氏にとってなじみの深い大阪・なにわで『七色の笑顔が輪になって支えあえる』ようにと名付けられました。

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田中氏は東住吉森本病院内科病棟、淀川キリスト教病院ホスピス病棟、訪問看護ステーションなどで15年以上の幅広い看護の経験を持ち、学生時代からの仲間であり、理学療法士・介護支援専門員である理事と共に起業を決意されました。8か月間の研修受講中から立ち上げ準備を入念に行い、先月1月に研修修了後、3期生初の開所式となりました。

8か月間の研修では、単なる知識の獲得ではなく、事業所を起業・運営するのに必要な看護師の意識改革を目指し、行政社会力、事業運営力に重きをおき、社会性豊かで、多種多様な保健専門職や行政・地域社会との連携を持つことのできる看護師を育成します。

http://www.smhf.or.jp/hospice/zaitaku/

そして修了後は、地域保健のハブになりうる「日本財団在宅看護センター」を起業・運営し、阿倍野区のように高齢化し、健康状態が低下しつつも在宅で暮らす地域の人々の多様なニーズに対応します。​​これまでに1期生・2期生、あわせて26名が修了し、20か所の「日本財団在宅看護センター」が設立されてきており、更に1月に修了した3期生9名の1番乗りとして田中氏がセンターを開所いたしました。(詳細はこちらまで→ http://www.smhf.or.jp/wp-content/uploads/2014/06/201609sasaheal13-web.pdf  )

 

 

開所式には、元上司であり、京都大学大学院教授の田村恵子先生が、病院で緩和ケアに従事していた時の田中氏を振り返り、「ある方のケアの中で、今でも大泣きされたことを覚えている、あの時の涙が今の瞬間につながっていると感じる」と話されました。更に、本事業の心強いサポーターでもある、厚生労働省関東信越厚生局医事課・​地域包括ケア推進課併任課長武末文男氏が開業地、文の里周辺の高齢化や在宅医療の需要の高まりに触れ、これからの活躍に力強いエールを送りました。

他に元同僚や地元の方々、本事業の先輩や同期生が全国から駆けつけ、大勢の皆さんが田中さんの門出を温かくお祝いしました。

 

集合写真

IMG_2059喜多理事長とツーショット

 

「24時間365日の安心、暮し・希望・一人ひとりを大切に」をコンセプトに、地域でケアを必要とする皆様を24時間365日支える、なにわ訪問看護ステーション。

今後の活躍にご期待ください!

事業所概要:

一般社団法人 在宅看護センター関西 なにわ訪問看護ステーション

【所在地】 〒545-0004 大阪府大阪市阿倍野区文の里4丁目19番20号

【電話番号】 06-6625-6601

【事業内容】 医師の指示による医療処置、療養生活上の相談・支援、健康状態の観察、リハビリテーション、エンドオブライフケア、家族支援、在宅移行支援、ご家族へのケア

【ホームページ】 https://zaitakukango.jimdo.com/

IMG_2026胡蝶蘭

[活動レポート ― ホスピス緩和ケア]
ホスピスドクター研修ネットワーク第12回情報交換会開催報告

当財団では、「ホスピス緩和ケアドクター研修」修了者と、研修受け入れ施設の指導医師を対象とした「ホスピスドクター研修ネットワーク」情報交換会を年1回実施しています。12回目を迎える今回は趣向を変え、施設見学を兼ね、日本財団ビルを離れ桜町病院 聖ヨハネホスピスで開催しました。

まず今年度ホスピスドクター研修中の3名による研修経過報告、続いて、「これからの緩和ケア病棟・在宅診療におけるホスピス緩和ケアのかたち」と題し、在宅、病棟とそれぞれの立場におられる3名の先生よりご講演をいただきました。

 「緩和ケア病棟から在宅診療に移ってみえてきたもの」

自身が考える「ホスピス緩和ケア」を求め、病棟から在宅へ移った相河明規先生(ケアタウン小平クリニック/ネットワーク世話人)からは、在宅診療で使用する鎮痛薬の量が病棟よりも少ないことや、自宅で最期を迎えるために必要なこととして、医師と患者・家族の関係性を指摘、コミュニケーションの重要性、医療者として最後まで支えることの重要性をお話しいただきました。

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相河明規先生

「在宅診療から緩和ケア病棟に移ってみえてきたもの」

昨年度のホスピスドクター研修生だった桶口史篤先生(富山市立富山市民病院/ネットワークメンバー)からは、病棟の利点として医師や看護師による継続的なケアは、患者や家族だけでなく、医療従事者の安心につながっていることが示されました。病棟、在宅のどちらがいいとかではなく、患者にとって多くの選択肢があることが大切であると力説されました。

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桶口史篤先生

「緩和ケア病棟における適切な療養場所の支援と地域連携のために作成した退院支援チェックリストの使用報告」

佐野広美先生(医療法人財団慈生会 野村病院 緩和ケア内科)からは、入院後の積極的な在宅復帰支援を行う中、患者・家族への精神的ケアや地域連携強化の必要から導入された退院支援チェックリストの使用報告がありました。病院と在宅の気心知れた連携が、患者に「病院にいつでも入れる」という安心感を提供でき、最期まで自宅で過ごすことができること、病棟が地域の一員であることをお話しいただきました。

佐野広美先生

佐野広美先生

続くディスカッションでは、全員が輪になり顔を合わせながら活発な意見交換を行い、緩和ケア病棟・在宅診療それぞれ共通するもの、異なるものを確認すると同時に、様々な環境がある中で、患者が選択できることの重要性、また患者が主体であることを再認識しました。

グループディスカッションの様子

グループディスカッションの様子

今回は初の試みで、これまでも多くの要望があった施設見学が実現しました。すばらしい環境のもとで療養されている方々の生活を拝見できたことは大変勉強になったとの感想が寄せられました。

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聖ヨハネホスピスの居室

緩和ケア医としてのフィールドは様々ですが、緩和ケアに携わる者としての共通理解を得る会となりました。本会は今後も、ネットワークメンバーの皆様のご意見を参考に、より充実した会となるよう支援させていただきたいと思います。

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参加者全員で記念撮影

[活動レポート ― 在宅看護センター]
公開講座「在宅医療・看護の実践者から」開催報告

2017年1月27日~28日、4回目の公開講座は、プログラム1では、「起業家育成事業修了生による実践報告と事業説明会を、プログラム2では、在宅緩和ケア医4名による講演という2部構成で行いました。

2014年より開始した「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業の修了者は、1月末に修了した3期生を含め35名となりました。1期生、2期生あわせて20名がすでに訪問看護ステーションを開業しています。

本事業は「看護師が社会を変える」というスローガンを掲げています。修了生は、それぞれの地域で、地域医療を支える在宅看護を行っており、今回の実践報告では、起業した1期生3名、2期生2名が本起業家育成事業の受講の動機、起業に至るまでの
経過、起業後の訪問看護実績、行政との連携、地域での啓発活動など幅広い報告を行いました。

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山本志乃氏(2015年開業/㈱在宅看護センター横浜/1期生)

 

その他講師

大槻恭子氏(一般社団法人ソーシャルデザインリガレッセ 代表理事/1期生/兵庫県)

黒澤薫子氏(一般社団法人ハーモニーナース 代表理事/2期生/茨城県)

赤瀬佳代氏(合同会社岡山在宅看護センター晴 代表社員/1期生/岡山県)

長澤祐子氏(一般社団法人ミモザ 代表理事/2期生/福岡県)

 

2日目のプログラム

渡邉淳子先生(わたクリニック院長)

東京の下町、葛飾区で2002年にクリニックを開業。「家で最後まで過ごすことは、日常の中に死があるということ、患者さん・家族の望む生き方を支えることを一番大切にしている」と語ります。在宅で24時間症状緩和を行うには多職種との連携は必須で、中でも看護師の力がとても大きいと言います。

在宅医療の要である看護師には、「その人が生き切るお手伝いをすること、医師と患者家族をつなぐ役目、多職種のまとめ役、本当の思いを感じ取れる心の多様性・柔軟性をもつこと、医療・看護・生活についてきちんとアセスメントできること」を期待すると伝えました。

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 渡邉淳子氏

 

川越厚先生(クリニック川越院長)

在宅での看取りには「死の教育」が必要である。医療者は、「死とは何か、最後の日々をどのように過ごしたら良いか」という情報を与え、個人が自分で選択できるように支援を行う。また、相談外来時、準備期、開始期、安定期、終末期、臨死期、死別後とそれぞれの場面で行う教育内容の整理が必要と語りました。

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二ノ坂保善先生(にのさかクリニック院長)

在宅ホスピスの仲間は「患者・家族のため」にチームを作りあげていくことが大切であり、医療・介護職以外にもボランティアの役割も大きいと言えます。ボランティアは、「デイホスピス、訪問診療の同行、聞き書き・代筆、留守番・見守り、イベント同行」など、その方の生活を豊かにする役割があります。

20年以上携わっているバングラディッシュと手をつなぐ会の活動や、世界の緩和ケアについて情報を得ることができるサイト、eHospice を紹介し、西洋諸国だけでなく医療資源の少ない貧しい国で行われている医療、緩和ケアから学ぶことがあるのではないかと、視野を広げることの大切さを伝えました。ホスピスケア・緩和ケアは人権問題に結びついていてること、病気や障害のため自分の人生を全うすることができない人が、人間らしさを取り戻そうとする医療であると述べました。

 

船戸崇史先生(船戸クリニック院長)

20数年在宅医療を行う中で、患者さんを通して学んだことを在宅医療からのメッセージとして事例を交えて話してくださいました。自らもがんを経験し、患者さんとの距離が近くなったことから、失敗、挫折、困難を経験した方が患者のつらさが分かる良い医療者になれるのではないか、人は本当にやりたいことをやるために生まれ生きているのではないか、がんなどの病気や困苦は、本来の使命への気づくために存在しているのではないか、との独自の考察を述べられました。

起業する看護師に対しては、「先の読める看護師、その存在が生きがいになる看護師、人間力のあふれる看護師、夢を語れる看護師」になってほしいと述べられました。

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船戸崇司氏

 

在宅医療を実践している医療者から、在宅医療、訪問看護、緩和ケアの実際について話を聞く貴重な2日間となりました。「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」の4期生を只今募集しています。詳細は、こちらをご覧ください。

http://www.smhf.or.jp/news/news_hospice/news_zaitaku/6676/

 

[活動レポート ― 在宅看護センター]
「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業第3期生の修了式

地域包括医療制度の中核となる在宅看護センターを起業する看護師の8か月間にわたる長期研修の修了式を挙行しました。「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業3期生は、それに先立ち、今週起業計画の発表(http://www.smhf.or.jp/category/blog_chair/)を済ませています。

冒頭、日本財団笹川陽平会長の式辞(代読)では「起業して経営者となり、組織を運営しながら医療・福祉をつなぐハブとして、センターを立ち上げる皆さん、ケアの最先端の看護師が地域を担う中核になることはこの国では画期的なこと。それぞれの地域で変革をおこしてほしい」との壮大な期待を賜りました。

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修了証授与に続き、公益社団法人日本看護協会坂本すが会長から「経営者になるあなた方は、これからは自分が看護をしてはいけない。人を動かし俯瞰し、事業の強みと弱みを分析・評価し、絶えず変化と改善を求め、更に地域の信頼を得なければならない。」とリーダーシップを鼓舞するお言葉をいただきました。

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最後に受講生を代表し片岡順子氏が謝辞を述べました。

「本事業の『看護師が社会をかえる』という熱い理念に突き動かされ、全国各地から受講した私たちは、キャリアや生活環境も経験してきた文化も異なりますが、看護師としての誇りと看護の可能性、そして自分が住む地域の将来をより良くしていきたいという強い思いを共有しています。今や何にも代えがたい、この8か月の学びは、まさに学際的で、改めて学ぶ喜びを知る時間でもありました。」「各地での先進的地域医療や熊本地震災害支援の見学・実践研修は、座学やオーソドックスな実習とは違った大きな学びでした。また、財団が長らく続けてこられたハンセン病対策の一環を垣間見た国立ハンセン病療養所の見学では医療職として殊更に正しい知識を持つ大切さに加え、偏見差別を解消するためには、五感に刻まれた揺さぶられる感覚を生涯忘れることなく同じ人間としての尊厳をどう考えるかを伝えていかねばならないと痛感しました。本研修を終えて、すでに起業された先輩を含め、在宅看護界の先達からの教示も、各センターの発展と看護の未来を担うため、私どもも、人材育成と共に共通の目標に向かって精進する決意を固める機会となりました。」としめくくり、近い将来の起業への決意を述べました。

 

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大きな希望と目標を胸に3期生の9名が着実な一歩を踏み出します。

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[活動レポート ― 在宅看護センター]
在宅看護事業:2016年秋 九州研修(鹿児島・宮崎・熊本)

~「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業3期生レポートより①~

「11月20日から4泊5日で実施された九州研修は、鹿児島と宮崎の在宅医療現場の見学・講義、熊本地震被災支援現場の視察と支援活動参加の2構成でした。

地域医療で長年活動されてきた先輩方の実践と、発災から半年が経過した熊本において、支援に求められるものや問題が変化してきている現状を学び、経営者としての視点で考えさせられる機会を得られました。私は九州出身ということもあり、それぞれの県に何度も訪れたことはありましたが、私が現在暮らす北海道と比較し面積は狭いものの、6県それぞれに歴史や文化に特徴があるという点は共通しています。南九州地区をバスで横断しながらの研修は、体力的にはややハードではありましたが、九州の魅力や地域性を理解しこれからの活動にいかせる研修内容となりました。

見学地のひとつである日本初のホームホスピス、宮崎かあさんの家http://www.npo-hhm.jp/past/index.htmは、地域の高齢者や障がい者が暮らす場を作るために、介護が必要になった単身高齢者宅を他の高齢者に生活してもらいながら住宅ごとお借りして始められました。家をそのまま活かしたことで、その方の地域での信頼関係やコミュニティがプラスに作用していることや、安定経営やケアが行き届く定員数と市内4か所に点在させて運営されていることを代表の市原さんからうかがった後、実際に二か所を見学しました。利用者の要介護度は高いですが、本人の生きる力を引き出し不必要な医療を提供しないよう、看護師が介護者を指導して互いの専門性を発揮できるよう工夫されていることと、組織が毎年寄付や助成を受け学びあい発展しているということが理解できました。(3期生 片岡)」

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~「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業3期生のレポートより②~

「震度7の地震を二日にわたり受けた益城町を11月23日、24日に訪れました。甚大な被害後の日本財団による支援の本拠地となった、日本財団災害復興支援センター 熊本本部の梅谷センター長さんより、今までの状況とニーズ調査方法、迅速な支援対策と内容(http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/kumamoto/)、また災難が起きた時の他組織とのネットワーク作りの重要性を教えていただきました。

500世帯を超えるテクノ団地(大規模仮設住宅)は、住宅が整然と並び建物は街を形成していました。官民の一体となり迅速に対応したことで居住の提供がなされ、スーパーや、人が集う場もありました。そこでは、キャンナス熊本の看護師が中心に2名のドクターが加わり保健相談会を月一回で継続しており、我々3期生も加わり、仮設住宅の住民の方々の相談会への呼び込みや、健康に関する相談を看護師として実際に伺う機会をいただきました。相談会に参加された住民の方々には、日々の生活のあり方を笑顔で話されながらも、不安の表出をされる方もおられ、これからも向き合い関心を持ち続けて欲しいとの思いが感じられました。

震災の直後から、衣食住医療において、立場や組織を超えて継続的に関わるシステムが重要であり、何時かは在宅看護センターも一端を担える力をつけられたらと切に感じました。(3期生 佐伯)」

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◆「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業第4期生募集中!http://www.smhf.or.jp/hospice/zaitaku/recruit/

◆1月27日(金)・28日(土)公開講座「在宅医療・看護の実践者から」参加受付中!https://system.smhf.or.jp/event/170127//

[活動レポート ― ホスピス緩和ケア]
日本財団ホスピスナース研修会を開催しました。

当財団では、質の高い緩和ケアを実践できる看護師の育成を目指し、認定看護師教育課程(緩和ケア・訪問看護)を中心に、研修の修了者約3,300人によるネットワークを構築、メンバーを対象に、同じ志を目指す日本財団ホスピスナースをつなぐ会として研修会を開催しています。

去る10月29日30日、地方研修会として「病を抱え生きる人を支えるケア」について学ぶ1泊2日の研修を行いました。初日は日本初の独立型ホスピス(緩和ケア病棟)であるピースハウス病院http://www.peacehouse.jp/ において、松島たつ子先生(一般財団法人ライフ・プラニング・センター ピースハウス ホスピス教育研究所 所長)より、講義やグループワークや施設見学を通し、その多様な取り組みや、エンド・オブ・ライフケアに携わるスタッフの喪失と悲嘆、そのケアついて学びました。

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2日目は昨年に続き、当財団事業のひとつであるハンセン病について知る機会として、2施設を訪問しました。日本初のハンセン病の治療所である神山復生病院http://www.fukusei.jp/ではその長い歴史を知る数々の資料に触れ、加えて、ホスピス病棟で実践しているケアの実際を見学しました。

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続いて、駿河療養所http://www.nhds.go.jp/~suruga2/を訪問し、ハンセン病に起因する二次的障害や合併症を抱える療養者のお一人である小鹿美佐雄自治会長から社会の差別や偏見による苦難の中にありながらも地域との共存を目指す活動が紹介されました。また、日々の療養者のケアを担う看護師からは、高齢化する入所者に対するより高度で複雑化する医療や看護についてお話しいただきました。最後に所内にある納骨堂を訪れ、参加者全員で鎮魂の祈りを捧げました。

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参加者のアンケートから、訪問した3施設はそれぞれに全く違った目的や機能を持ち合わせていますが、そこに共通する「病を抱え生きる人を支えるケア」について、ホスピスナースとして、看護師として、今後の役割や展望を共有するきっかけになったようです。本ネットワークの次回の研修会は、来年3月初旬に東京(日本財団ビル)で開催予定です。

[活動レポート ― 在宅看護センター]
在宅事業:岡山・神戸研修2016夏

第1日目(7月6日)はお昼に岡山入りし長島愛生園、1期生赤瀬氏と岡山市職員の方の講義、赤瀬氏の事業所訪問と盛りだくさんの半日でした。受講生達は一様に看護師とはいえハンセン病やその背景について知らないことばかりだったと語り、この病について知る貴重な機会に感謝していました。田村学芸員の「差別を生んだのは見て見ぬふりをした『私たち』であり、差別をなくすには正しく理解し関心をもつことが第一歩」の言葉が心に残りました。

長島愛生園集合写真

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その後在宅事業の第一期生である赤瀬佳代氏(合同会社 岡山在宅看護センター晴経営者)と小野室長(岡山市保健福祉局医療政策推進課地域ケア総合推進センター)の講義を受けました。行政側の当事者からの課題抽出と多職種間の橋渡しの役割をどのように担っているか、また赤瀬氏が「意見を言える看護師」としてそこにどう参画しているかを聞きました。また、赤瀬氏から起業・運営にまつわる苦労話、失敗談を伺い事業所を見学させて頂いたことで、受講生は「具体的なイメージを持つことができた」と感想を述べました。

赤瀬さん、地域包括ケア担当者

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2日目(7月7日(木))は岡山から新神戸駅に移動しSysmex株式会社、ホームホスピスなごみの家を見学しました。Sysmex株式会社はグローバルな検査機器の会社で、林正好取締役専務執行役員から、設立以来同社が大切にしてきた「お客様目線で物事を考える」姿勢の重要さについてなどお話を伺いました。「文化のないところにサイエンスはない」の言葉通り、専属コンパニオンによる丁寧な説明をうけ、美術品で目を和ませ、茶室でお茶をいただき、広い敷地には瞑想の場があり、随所で高い文化性とおもてなしの心を感じました。最新のGPS-SNCSというサポート管理システムや学術本部の取り組み、子供向けの検査について説明する絵本の配布など、目先の利益の追求にとどまらない企業理念が社員の働きに還元されていると推察でき、受講生は大変な刺激を受けている様子でした。

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続いてホームホスピス神戸なごみの家を訪れました。ホームホスピスの居間で利用者や介護者がおいでの和やかな雰囲気の中で、松本京子さんは管理者としての立場から理念の大切さ、訪問看護ステーションとホームホスピス事業所の経理・総務、開設当時の地域から理解を得るまでの苦労話や現況についてオープンに話して下さりました。

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最終日(7月8日(金))は兵庫県立リハビリテーション中央病院・総合リハビリテーションセンターを視察しました。澤村誠志名誉院長より病院及びセンターの成り立ち、これまでの挑戦、施設の概要について講義を受けその後、施設見学をしました。OT・PT・ST、義肢装具クリニック、臨床心理、ADL評価、小児リハビリ、回復期病棟などリハビリ各種を網羅した各部門を目にし、日本を代表するリハビリ専門病院であると実感しました。日本における地域包括リハビリのパイオニアである澤村先生は「障がい者こそわが師」であり謙虚で学び続けることが大切であること、またリハビリ抜きの医療→介護となりがちな現在の介護制度の疑問について言及されました。障がい者が地域に戻り生活していくこと、そのために何が必要かを考えつづけ、常に目標を見失わないことが大切だと最後に付け加えられました。

兵庫県立リハビリポータブルトイレ兵庫県立リハ歩行補助器

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全体を通じ、研修参加者はリーダーとして、経営者としての重要な視点・姿勢を各人、施設・法人様から教わり、大変充実した研修内容となりました。

[活動レポート ― 在宅看護センター]
「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業特別公開講座シリーズ 「看取りを考える」 を開催しました。

2016年6月11日~12日、シリーズ3回目を迎えた本公開講座では、「看取り」に焦点をあて医療者、宗教・哲学者に加え、ご家族などさまざまな立場から話をうかがいました。

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中野一司先生は在宅医の視点から、看取り(死)を考えることは、生きる意味を考える、つまりは哲学そのものであるとし、医学を含む自然科学主体のキュアから、人文科学を基とするケアへのパラダイムシフトとその哲学的分析について解説されました。

そして、「112日間のママ」著者で読売テレビアナウンサー、清水健氏が長男出産後112日で他界した妻(享年29歳)を看取った経験を語りました。出産後わずか1週間で余命1か月と宣告され何度も医療者から告知を勧められるも、最後までしなかったこと、それを今も自問自答する日々であると語られました。「看護師さんに時に憤り、救われてきたからこそお願いしたい、告知や言葉はなくとも、どの患者・家族にもあるそれぞれの形の「想い」を汲んでほしい」と訴えました。「看取る…?違う…そのために何かをするのではない。最後まで一緒にいるためにできること、それを皆さんと一緒に考える社会であってほしい。それはひとりでは無理です。どうか力になってほしい。」と声を絞りだし語りかけました。

「清水健氏のご講演で映しだされたご家族の笑顔」

病棟・訪問看護師や心理療法士の講演を経て、最後にカール・ベッカー博士が日本に昔からある食文化や死生観を見直すことで、死は敗北でなく「お見送り」であり、心の供養へ導くことができると力強く語りました。

看取りの現場、家族の思いから学び日本の文化・死生観に触れ哲学を考える、そんな盛りだくさんなの1日半となりました。参加者からは物語、チームの大切さを学んだ、つらい内容を話してくださり感謝、明日につながるし、つなげたい、などの声が寄せられました。

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[活動レポート ― 公衆衛生の向上]
WHO笹川健康賞2016

5月27日、ジュネーブの国連欧州本部で開催された第69回WHO世界保健総会にて、世界の公衆衛生向上に寄与した個人/団体を顕彰するWHO笹川健康賞の表彰式が行われました。32回目の受賞者はスペインの国際NGO「Federation of Medicus Mundi Spain」でした。

同団体は1963年に設立され、「Health for all」をスローガンに、中南米での活動を繰り広げる国際医療協力ネットワーク「Medicus Mundi International」のメンバーです。今回の受賞は、エルサルバドル、グアテマラ、ペルー、ボリビアでの20年以上にわたる活動が評価されてのもので、これらの国々の医療アクセス困難な農村部や先住民コミュニティで、性別、年齢、習慣などの違いを超えて、すべての人々が等しく健康な生活を確保できることを目指し、現地の行政や医療従事者を巻き込み、さらに各地の独自性をも尊重しつつ、コミュニティの融合を図り、それぞれの地域で機能する公衆衛生システムを再編しました。

授賞式では、日本財団笹川陽平会長より、「Medicus Mundi Spainはこの賞金で、4カ国の公衆衛生システムにおける本事業の効果を科学的に調査することを予定しています。また、他地域への応用の可能性なども検証するそうです。私たちは、この活動がプライマリ・ヘルスケアの向上にさらに貢献することを期待しています。今日、私たちは持続可能な開発目標の一つである『すべての人に健康と福祉を』に向かって活動をしています。本日お集まりの皆さま、Medicus Mundi Spainと共に、この目標の達成に向け、引き続き尽力していこうではありませんか」と力強いメッセージが送られました。

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授賞式前の会場にて。(右から、日本財団笹川会長、Medicus Mundi Spain President Dr Eduardo Garcia Langarica、同 Vice President Mr. Carlos Mediano、当財団理事長喜多、 日本財団 田南常務)


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