日本財団在宅看護センターとは

目的
特徴
対談「看護師が社会を変える」

目的

本事業では「日本財団在宅看護センター」の開設と普及のため、起業・運営・経営を担うことができる看護師を育成します。医師との協力はいうまでもなく、リハビリ・栄養・介護・薬剤師など多職種との協調を前提に、適切規模の人口集団ごとに「日本財団在宅看護センター」を配置します。医療施設から退院した患者のフォローに加え、徐々に生活力・生存力が低下する高齢者も対象とし、地域に根差したプライマリケアを提供できる事業所ネットワークの構築を目指します。

 

特徴

「日本財団在宅看護センター」は、地域の医療施設、診療所、開業医、その他介護・老健施設などと連携するほか、薬剤、給食、リハビリテーション施設とも連携します。また、地域外の施設とも連携する努力を行います。加えて、地域住民の理解と協力の下に、独居住民や退院直後または容態不安定期の人々、さらに看取りを必要とする場合には、在宅ホスピス機能も備えた柔軟な体制を目指します。在宅看護の形態は、都市部・農村部・山村・漁村など地域で異なります。本センターは地域に根ざす各センターが持つ情報や人材を共有できるネットワークを目指します。

特徴

  • 看護師を中心に介護士、PT/OT(非常勤含む)等10~15名で構成
  • 他の保健医療施設と連携し、適切な地域・人口規模を24時間カバー
  • 地域包括的なケアのマネジメント機能を持ち、看護師は地域・多職種連携のコーディネーター役を担う

 


対談「看護師が社会を変える」笹川 陽平(日本財団 会長)×喜多 悦子(笹川記念保健協力財団 理事長)

喜多 この度の日本財団支援で始める「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業への過程を説明しますと、当財団は十数年来ホスピス緩和ケア事業として看護師及び医師の研修をやってまいりました。これは医療施設内のケアプロバイダーの機能強化でした。今、日本は人類史上初めての高齢社会に入っています。健康が壊れた場合は医療で解決しますが、多くの高齢者の健康は壊れてないけれど少し質が悪くなっている、それをどこで看るかは国際保健の現場にいた時から気になっていました。さらに看護教育に携わったなかで、このような事業をどこかで出来ないものかと考えていました。

笹川 私は、組織も人も変化し、時代のニーズにきちっと合ったものは何か、それにどう対応できるかが大事だと考えています。笹川記念保健協力財団と日本財団が協力して行った緩和ケアや訪問看護の専門家であるホスピスナースの養成は3,000人にも及び、これは大きな組織力です。これらの組織も活用し、ご指摘のように、世界で最も早い高齢社会を迎える日本ですが、この事業は日本のみならず、高齢化を迎える他の国々にとっても一つのモデルケースになりうるようなチャレンジングなことで、喜多理事長の長いご経験の上で実行していただけるということで、大いに期待しております。

喜多 高齢者が多くなった日本の健康をどうするかを考えた時、看護師だと思いました。多くの医師は医療施設で働いており、地域を看ることに関しては、医療施設の医師を即地域に持ってきても効率も機能もうまく合わないと思います。その点看護師は人々と近く、これからも増えてくる高齢者対策という社会のニーズに対し、その機能で対応する方針でやっていきたいと考えます。

笹川 今回の計画は二つの点で大変ユニークだと思います。一つは、国民の側、医療の受け手側からすれば在宅ケアが理想ですが、これに対して積極的にアプローチしようとする取り組みだということ。もう一つは、ケアをする側、看護師の関わり方です。多くは病院を中心に医師からの指示の範疇で活動している状況から、在宅に近づいていくに従ってインセンティブも変わってくるでしょうし、自分たちが一つの事業を行いながら国民生活で最も重要な健康管理を積極的に支えていくということで、従来の考え方からもう一段飛躍し、表舞台に出て起業マインドで仕事をする。これは長い看護師の歴史の中でもエポックメイキングになるような出来事ではないでしょうか。喜多理事長はどうお考えですか。

喜多 おっしゃる通りだと思います。看護師は自立を願いながらも起業マインドが弱い。このコースでは管理的ノウハウを勉強していただく場とします。世界的にも看護師は医師のスーパーバイズのもと、というのが出来上がり過ぎて、それを突破するのが非常に難しいと思います。また、看護でなく介護という意見もありますが、私は看護師の健康評価機能を重視し、「日本財団在宅看護センター」は勤務者全員が看護師である必要はないのですが、管理者は看護師が担います。全国各地で日本財団マーク入りの車を見ますが、このセンターはそれらをきちんとつなぐハブの役割を果たしてほしいと思っています。日本財団から開業時の支援もいただけることは大変心強く、数年内に津々浦々とはいいませんが、それなりの地域にネットワークが広がってほしいと願っています。

対談

笹川 いくつかの成功例ができれば大きく変わっていくと思いますが、このようなチャレンジングな仕事は、最初は抵抗が強いかもしれません。しかし世の中の変化を呼び起こすのは常に少数意見です。昔、日野原重明先生と共に予防医学を充実させなければならないと「ライフ・プランニング・センター」を立ち上げた頃は、血圧計すら看護師に持たせなかった時代でしたが、今や隔世の感があります。ホスピスナースを見ても、看護師は非常に志の高い方が多く、病人あるいはケアの受け手にとって精神的にウエイトが高いハートの部分は看護師が背負っておられます。日本の看護師は質・量ともに世界有数ですので、在宅でやってみようという優秀な人たちが相当いらっしゃるのではないかと期待しています。

喜多 医者はどうしても技術を使う方に気持ちが傾くのに対して、看護師は踏みとどまることができます。自立して評価に耐えるような、成功モデルを作らなければなりません。日本財団の協力の下に笹川記念保健協力財団の全力を注いでやってまいります。

笹川 是非、よろしくお願いします。ワンパッケージで充実した支援ができるような強力な支援体制ができると思います。

喜多 その体制を活かし、社会を変えていきたいと強く思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

(2014年1月対談)

 

笹川陽平 喜多悦子
笹川 陽平
日本財団 会長
1939年 東京生まれ。現在、WHOハンセン病制圧特別大使、ハンセン病人権啓発大使(日本政府)、ミャンマー国民和解担当日本代表(日本政府)ほか。日本財団理事長を経て、2005年7月より現職。
喜多 悦子
笹川記念保健協力財団 理事長
1939年 兵庫生まれ。現在、日本赤十字九州国際看護大学名誉学長、米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院上級研究員ほか。2013年4月より現職。