[活動レポート ― ホスピス緩和ケア]
看護の現場におけるスピリチュアルケアとは?

看護の現場におけるスピリチュアルケアとは?

~第16回日本財団ホスピスナース研修会~

 2017年3月3日、質の高い緩和ケアを実践できる看護師の育成を目指し、認定看護師教育課程(緩和ケア・訪問看護)などの研修修了者を中心とした「日本財団ホスピスナースネットワーク」の研修会を、ホスピスナースの代表であるプログラム委員の企画・運営により開催、全国より約100名が集まりました。

 今回の研修会では、日常の現場での患者・利用者、その家族と向き合う中で、これでいいのか、もっと何かできるのではないか、悩み戸惑うことが多いと感じている「スピリチュアルケア」をテーマに取り上げ、本研修会としての「看護の現場におけるスピリチュアルケア」の定義化を目指しました。

 研修はまず、グループワークから始まりました。事前課題を通して各々が前もって整理していた「コミュニケーション」や「スピリチュアルケア」に関する事例や悩みなどを共有しました。

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グループワークで方向性を示す講師

続いてチャプレンであられるお二人の講師より講演をいただきました。

講演Ⅰ「スピリチュアルケアとは」小西 達也(武蔵野大学教授・日本スピリチュアルケア学会理事)

小西先生からは、「スピリチュアルケア」の定義付けについて、望まれながら、絶えず検討されつつも、統一的定義が見出されないまま現代に至っており、容易でないとしながらも、患者だけでなく一般の人へ明確に説明ができるように定義を考えることの重要性を説明いただきました。またケア提供者個人の人間観やあり方がケアに大きく影響すること、そして、患者が生きる価値を見いだせない苦しみ(スピリチュアルペイン)にいる時、自ら納得のいく「生き方」の発見と「実現」を図ることをサポートする意味合いで、「スピリチュアルケア」を「自己実現のサポート」と捉えることができるとお話しいただきました。

講演Ⅱ「医療現場からみるスピリチュアルケア」   清田 直人(社会医療法人栄光会 栄光病院 チャプレン)

冒頭、清田先生は「スピリチュアルペインは取り除かなければならない苦痛ですか?」と私たちに語りかけました。スピリチュアルペインは、「自分らしくない」自分を、生きていかなければならない際に経験していく苦悩であるが、真の自分になる契機であり、真の自分を全うするためには自己が承認されること、拠り所となる「関係」の存在が必要であり、自分・他者・秘的存在(宗教など)との関係を示されました。そして最後に、ケア提供者に求められる姿勢のひとつとして、「燃え尽きてもいけないし、冷めていてもいけない。燃えつきない程度にいつまでも燃え続けていく、炭火のような心を持ちたい」と語られました。

続く2回目のグループワークでは、二つの講演を受け、参加者それぞれが新たな視点を持ち、「スピリチュアルケア」の定義を話し合いました。講師が各グループをラウンドし、方向性を示す場面もあり、活気に満ちたワークとなりました。その後のふりかえりで発表された15グループそれぞれの定義は、各グループの個性が反映され、それぞれに存在感のあるものとなり、講師によるレクチャーを通し次の4つのポイントが見出されました。

①自分らしさ/ありのまま/その人の生き方 ②敬う/信頼/認める ③共に/寄り添い/援助 ④プロセス/過程

これらを踏まえ、さらに会場全体でのディスカッションを重ね、キーワードを集約化する作業を進めました。そしてついに参加者全員の総意として、本研修会での定義が決まりました。

講師によるレクチャー 左:小西 達也先生 右:清田 直人先生

講師によるレクチャー
左:小西 達也先生 右:清田 直人先生

 

 

 

 

 

 

 

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定義化へ向けたディスカッション

スピリチュアルケアとは ~その人のあるがままを信じて認めて、「その人らしく」生きることを支え続けること(寄り添うこと)~

9時開始18時終了と長時間に渡った研修、加えて、事前課題の導入など、受講者にとってハードな研修となりましたが、受講後のアンケートでは、前もって自分の考えを整理し言語化していたこと、講師によるグループワークの方向性の提示など、最終的に定義へと導かれ、達成感と深い理解を習得する機会であったと多くの方に評価いただきました。今後もこの日本財団ホスピスナースネットワークならではの研修を提供できるよう、事業を進めていきたいと思います。

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一丸となって研修会に臨んだ講師・プログラム委員