[活動レポート ― ホスピス緩和ケア]
笹川記念保健協力財団 看護師研修 in 北海道 日本財団ホスピスナースネットワークチーム+日本財団在宅看護センター起業家育成事業4期生 ~地域医療・保健の実際とスピリチュアル・コミュニケーションを学ぶ~

 2017年10月27日~29日、日本財団と笹川記念保健協力財団は、これまで行ってきたふたつの看護人材育成に参加下さったメンバーの合同チームで北海道に参りました。

 この例年の地方研修も5回目、秋深まる北海道は帯広と札幌での研修兼旧交を温め、未来を語る集まりに全国から60名を超える看護師がご参集下さいました。

 多様なプログラムは、初日の帯広「市民活動プラザ六中」見学から。廃校になった中学校舎をリニューアル活用し、障がい者や高齢者が住み慣れた地域で生きがいや役割を持って暮らせる地域社会を目指す「地域の支え合いの拠点」です。多数自治体が本施設見学をされるのは、どこでも廃校舎問題を抱えているためでしょうとのこと。続いて、今や池田町の主要産業となっているワイナリーを見学し、宿舎に到着しました。

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教室がだれもが利用できる格安食堂に変身

 初日の講演前、日本財団尾形武寿理事長から、「複雑な問題を抱える日本の地域医療に必要なのは看護師である」と力強いエールを頂きました。続く研修その1は「地域の在宅看護センターの現状」日本財団在宅看護センター起業家育成事業3期生で、本年4月、帯広郊外音更町で「在宅看護センターちせ」を開設した片岡順子氏、同1期生沼崎美津子氏「看護小規模多機能型居宅介護施設『結の学校』」(福島市)、同2期生岡本直美氏「つかさ 在宅看護センター Lanaケア湘南」(神奈川県藤沢市)と同長澤祐子氏「在宅看護センターミモザ(福岡県宗像市)が、それぞれの地域の特徴や困難、看護の力が活用された例を発表下さいました。続いて研修その2は、医師4年目で村唯一の医療機関を任された後、総合診療医として地域医療を改革してきた更別村国民健康保険診療所長山田康介医師の「地域医療の実際と看護師の役割」でした。看護師の地域への貢献とともに、広域分散型の地域特性や積雪寒冷が厳しい十勝地区の実際と取組みと対策、そして地域医療や地域包括ケアにおける看護師のとるべき姿を解説いただきました。

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外は寒い・・・会場では、熱気あふれる意見交換が

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記念撮影・中央日本財団尾形武寿理事長とその左山田康介医師
白いジャンパーは世話役たち

 2日目は札幌に移動。道中、壮大な北海道を堪能する景色でしたが、厳寒期、深い積雪の際には、発病者、けが人や障がい者だけでなく、高齢者のケアにも多大な時間、エネルギーを要することは容易に察せられました。研修その3は、当財団ホスピスドクター研修修了者で、現在、洞爺湖で訪問診療に従事されている岡本拓也医師による「医療者のためのスピリチュアル・コミュニケーション」で、本年3月のホスピスナース研修会(東京)「看護の現場におけるスピリチュアルケアとは?」の続きでもあります。岡本先生は、スピリチュアルケア関連書籍も数冊出版されています。ここでは、マインドフルネスのエクササイズを通し、自分自身とグループワークによる他者理解を体験学習する機会でもありました。

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研修中の参加者たち

 世界では、UHC (Universal Health Coverage, 国民皆保険) が大きなうねりとなっています。今回の研修では、少子高齢化がピークを迎える2025年問題を前に、そのUHCの先頭を走ってきた日本全体の保健医療制度と体制の維持、人口密集した首都圏や都市部と地域社会と云う言葉では括れないほど広大な北海道や高齢者だけになりつつある過疎集落の問題などなど、地域各地の継続的存在を、わが国全体がどう支えられるのか、その中で看護は何が出来るのか、看護師の力で何が為せるのかを考える機会でもありました。

 財団は、ホスピス・緩和ケア、在宅看護を通じて、社会全体の安心と安全に貢献できる看護師活動を、引き続き、支援してゆくべきことを再確認しました。講演頂いた山田先生、岡本先生、沼崎様、岡本様、長澤様、そして地元の片岡様、お世話になった方々、ご参加の各位、ありがとうございました。