[活動レポート ― 在宅看護センター]
公開講座「在宅医療・看護の実践者から」開催報告

2017年1月27日~28日、4回目の公開講座は、プログラム1では、「起業家育成事業修了生による実践報告と事業説明会を、プログラム2では、在宅緩和ケア医4名による講演という2部構成で行いました。

2014年より開始した「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業の修了者は、1月末に修了した3期生を含め35名となりました。1期生、2期生あわせて20名がすでに訪問看護ステーションを開業しています。

本事業は「看護師が社会を変える」というスローガンを掲げています。修了生は、それぞれの地域で、地域医療を支える在宅看護を行っており、今回の実践報告では、起業した1期生3名、2期生2名が本起業家育成事業の受講の動機、起業に至るまでの
経過、起業後の訪問看護実績、行政との連携、地域での啓発活動など幅広い報告を行いました。

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山本志乃氏(2015年開業/㈱在宅看護センター横浜/1期生)

 

その他講師

大槻恭子氏(一般社団法人ソーシャルデザインリガレッセ 代表理事/1期生/兵庫県)

黒澤薫子氏(一般社団法人ハーモニーナース 代表理事/2期生/茨城県)

赤瀬佳代氏(合同会社岡山在宅看護センター晴 代表社員/1期生/岡山県)

長澤祐子氏(一般社団法人ミモザ 代表理事/2期生/福岡県)

 

2日目のプログラム

渡邉淳子先生(わたクリニック院長)

東京の下町、葛飾区で2002年にクリニックを開業。「家で最後まで過ごすことは、日常の中に死があるということ、患者さん・家族の望む生き方を支えることを一番大切にしている」と語ります。在宅で24時間症状緩和を行うには多職種との連携は必須で、中でも看護師の力がとても大きいと言います。

在宅医療の要である看護師には、「その人が生き切るお手伝いをすること、医師と患者家族をつなぐ役目、多職種のまとめ役、本当の思いを感じ取れる心の多様性・柔軟性をもつこと、医療・看護・生活についてきちんとアセスメントできること」を期待すると伝えました。

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 渡邉淳子氏

 

川越厚先生(クリニック川越院長)

在宅での看取りには「死の教育」が必要である。医療者は、「死とは何か、最後の日々をどのように過ごしたら良いか」という情報を与え、個人が自分で選択できるように支援を行う。また、相談外来時、準備期、開始期、安定期、終末期、臨死期、死別後とそれぞれの場面で行う教育内容の整理が必要と語りました。

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二ノ坂保善先生(にのさかクリニック院長)

在宅ホスピスの仲間は「患者・家族のため」にチームを作りあげていくことが大切であり、医療・介護職以外にもボランティアの役割も大きいと言えます。ボランティアは、「デイホスピス、訪問診療の同行、聞き書き・代筆、留守番・見守り、イベント同行」など、その方の生活を豊かにする役割があります。

20年以上携わっているバングラディッシュと手をつなぐ会の活動や、世界の緩和ケアについて情報を得ることができるサイト、eHospice を紹介し、西洋諸国だけでなく医療資源の少ない貧しい国で行われている医療、緩和ケアから学ぶことがあるのではないかと、視野を広げることの大切さを伝えました。ホスピスケア・緩和ケアは人権問題に結びついていてること、病気や障害のため自分の人生を全うすることができない人が、人間らしさを取り戻そうとする医療であると述べました。

 

船戸崇史先生(船戸クリニック院長)

20数年在宅医療を行う中で、患者さんを通して学んだことを在宅医療からのメッセージとして事例を交えて話してくださいました。自らもがんを経験し、患者さんとの距離が近くなったことから、失敗、挫折、困難を経験した方が患者のつらさが分かる良い医療者になれるのではないか、人は本当にやりたいことをやるために生まれ生きているのではないか、がんなどの病気や困苦は、本来の使命への気づくために存在しているのではないか、との独自の考察を述べられました。

起業する看護師に対しては、「先の読める看護師、その存在が生きがいになる看護師、人間力のあふれる看護師、夢を語れる看護師」になってほしいと述べられました。

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船戸崇司氏

 

在宅医療を実践している医療者から、在宅医療、訪問看護、緩和ケアの実際について話を聞く貴重な2日間となりました。「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」の4期生を只今募集しています。詳細は、こちらをご覧ください。

http://www.smhf.or.jp/news/news_hospice/news_zaitaku/6676/