[活動レポート ― 在宅看護センター]
シリーズ 日本財団在宅看護センター起業家育成事業の仲間たち4―茨城県茨城町の民家 在宅看護センター和音(わおん)

事業所名:一般社団法人ハーモニーナース

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在宅看護センター和音(わおん)

場所:茨城県水戸市の隣の茨城町

HP:http://www.harmony-nurse.jp/

TEL:029-303-8780 FAX:029-303-8781

開業:2016年4月1日

代表理事:黒澤薫子(看護師)研修2期生

 

茨城県東茨城郡茨城町といえば、県のど真ん中に位置すると想像されそうですが、この町のホームページには、ささやかに「ほどよい田舎 いばらきまち」とあります。日本財団在宅看護センター起業家育成事業研修二期生黒澤薫子が代表理事をつとめる「和音(わおん)」は、その茨城町の住宅地に2016年4月に開設しました。茨城町・・・と云ってもピンとこない方も、水戸黄門・・・通称ご老公で名高い水戸光圀の居城があった水戸市は、そのいばらきまちの隣と云えば、大よその位置は想像されましょう。

どっしりとした日本家屋が和音の事務所です

どっしりとした日本家屋が和音の事務所です

茨城県は、全国魅力度ランキングが、何と4年間連続最下位でした。が、そうは言っても「住めば都」と申します。この町、食べ物は美味しく景色も美しく、車さえあれば非常に暮らしやすい地域、と、黒澤は自負しています。

代表理事の黒澤は、その看護師人生25年を水戸市内の500床を有する総合病院で過ごしました。この間めぐり会った膨大な数の患者さんたち。「私の人生観も死生観も変わってしまうような貴重な経験をさせていただきました。」と振り返る。が、医療制度改定が続き、入院期間を短縮せねばならなくなった病院。そのような時代の曲がり角、施設での看護に限界を感じるようになっていた一方、不治の病におかされた方、終末が近い患者さんから、「家に帰りたい!」と切ない表情で訴えられることも増えました。どうにかしてさしあげたい・・・と思う気持ちが強くなっていました。

そして、地域包括ケアという言葉を耳にすることが増え始めた頃、悶々としつつ、開業・・・を決意するかどうか揺れていた頃、偶然にも「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」を知ったのです。周囲の人々に、「今まで、あなたが看取ってきた人たちが、今、あなたを導いているんだろうね。」とも言われました。迷わず、この研修に飛び込みました。何かが私を後押ししていると思うようなご縁でした。2015年春、私の人生は別の方面に広がりました。

8ヵ月の研修は、看護学的な研修はわずか、根幹は経営者になるための意識変革を求めたものでした。現状から未来を想像し、社会のニーズを先駆的に把握し、それを一つの企業体として組織し、そして看護を実践する。そのための経営者に生まれ変わることが必要でした。見かけの黒澤薫子は同じですが、中身は生まれ変わらねばならない、そんな内面的葛藤を断ち切るに必要な、多士済々、多様なご経歴の第一線講師陣たち、たった8ヵ月でしたが、その濃い中身は、この上なく、刺激的、本当に生まれ変われたと思える学びでした。

開所式には同期生全員が出席してくれました

開所式には同期生全員が出席してくれました

在宅看護は、個々人の生命力を拡大し、生き様を変化させるという魔法の力を秘めています。

人間は自分の好きな環境に置かれれば、自ずと生きる力が沸き、たとえ病気や障がいがあっても許される範囲の健康を享受できることを改めて感じます。だから、個々人の生活の場を訪問しケアを行う看護師は、その個人の生き方を出来る限り把握し、支援すべきことと過剰な介入や邪魔をしないことの見極めを付けられることが最も重要な鍵だと実感しています。

どんなに科学的に正しくとも押し付けではいけません。病気あるいは障がいをも許容しつつ、それぞれの生活をどう維持あるいは少しでも向上できるのか、外部からの訪問者である看護師はどんな立ち位置におればよいのか、それらが収まるべきところに収まることが、在宅看護の始まりです。そして、私はいつも考え続けています。今ある辛い症状はどうすれば落ち着くのか、どうすればより楽な日々となるのかを。主治医たち、医療施設の退院調整を担う看護師、ケアマネージャー、福祉関係者などなど、多職種とのチームワークも実に重要です。

利用者様宅にて、ご家庭の様子が分かるのは在宅/訪問看護ならでは

利用者宅にて、家庭の様子が分かるのは在宅/訪問看護ならでは

ご自宅に伺います!

ご自宅に伺います!

退院直後のある期間は、病院で強いられた安静の所為もあって、筋肉は衰え、思うように動けません。が、食べ慣れた自宅の味と、使い慣れた我が家での行動によって、また一歩一歩自分の足で歩けるようになることも少なくありません。たとえ、がんの終末期で何も食べられないという状況であっても、ご家族と一緒のお食事で少しずつ食欲が戻り、短期間でも元気を回復される方もおります。在宅看護は、まさにミラクルをもたらします。こんなに楽しい看護があったなんて・・・と、癒されているのは私自身です。

起業して1年半、まだまだ駆け出しの在宅看護センターではありますが、地域の方々に支えられて「和音」も、ここまでやって来る事ができました。社会は激しく変化しています。そして、在宅看護は、ますます必要になります。

 

「和音」は、社会のニーズを確実にキャッチし、皆さまの信頼を得られるような良質な看護を、365日24時間、ご自宅にお届けできる「いばらきまち」の在宅看護の担い手であり続けたいと願っています。

(文責 黒澤薫子)