[活動レポート ― 在宅看護センター]
シリーズ 日本財団在宅看護センター起業家育成事業の仲間たち6-早春の十和田市 名は体を現わす 緑の杜

事業所名:一般社団法人緑の杜
日本財団在宅看護センター「みどりの風訪問看護ステーション」
所在地: 青森県十和田市西十二番町10-20石倉荘1
日本道100選にも選ばれた官庁街通りに面する十和田市立中央病院北側の住宅地、その一角にある古い小さなアパート
TEL: 0176-58-6727 FAX:0176-24-3989
代表理事・管理者(所長):太田緑(緩和ケア認定看護師)研修3期生

開業: 2017年4月1日
HP:https://midori-mori.jimdo.com/
Facebook:みどりの風訪問看護ステーション

 

十和田市と云えば、皆、奥入瀬と十和田湖を思い浮かべられましょう。
「みどりの風訪問看護ステーション」は、その青森県の十和田市を中心に、病気や障害があっても、人生最期の時を住み慣れた処、自分らしく生き続けられることを支える訪問看護を目指して開業し1年が過ぎました。

2018040602一般社団法人「緑の杜」代表理事、日本財団在宅看護センター「みどりの風訪問看護ステーション」所長をつとめる太田は、事務所に近い十和田市立中央病院に30年の長きにわたって勤務してきた緩和ケア認定看護師です。勤務の間、地域医療連携室次長また緩和ケアチーム専従看護師として、患者やご家族また医療や介護の専門職からの相談も受けてまいりました。病気や障害を抱えた地域の人々が、最後まで、安心してご自宅で過ごされるためには、何よりも地域の医療とケアの連携が重要だと考えるようになっていました。そんな中で、笹川記念保健協力財団が行う「日本財団在宅看護センター起業家育成事業」研修を受講しました。

緩和ケアを学んだきっかけは、30年前、「家に帰りたい」と切望された入院患者の希望を叶えられなかった経験から、せめて苦痛だけは取り除けないかとの想いからでした。今のように介護保険制度や訪問看護ステーションもない時代でした。現在では、病気の種類や重さにかかわらず、在宅療養は可能です。が、地方では、深刻な医師不足に加えて、医師の高齢化もあり、医師中心では安心して在宅療養を行えない状況もあります。

「看護師が社会を変える」と書かれた受講生募集パンフレット、日本財団笹川陽平会長と笹川記念保健協力財団喜多悦子会長の対談を拝読し、受講を決めました。8ヵ月の研修の最後に事業計画をまとめました。研修修了と同時に法人設立し、4月に開業し、ちょうど1周年を迎えました。

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ただ、訪問して看護するのではなく、その活動を通じて、地域の未来創出にも貢献する、そんな自負を持ちつつ看護三昧の毎日を過ごす、そんな風に考え言えるようになれたのは、あの8ヵ月研修での成果・・・自分なりの切磋琢磨の結果だと思います。あるスタッフは、オリエンテーションで、私が夢を追加し、説明したところ、ここで働けてよかった!と、少々大げさでしたが、お蔭様で、私自身のモチベーションもアップしました。

現在スタッフは、看護師6名。アットホームな雰囲気の中、「未来を創る」という大きな夢に向かって、まい進中です。まだまだ日々の訪問看護の利用者数は少ないですが、ご縁をいただいた方は60名となりました。0歳から100歳まで、予防から看取りまでを支えたいと考えておりますが、どうしても看取りの方が多く、かかわる時間が短いことが多いのが現状です。「みどりの風」では、利用者様が亡くなられた後も、ご家族のグリーフケアをさせていただいております。

「みどりの風」のスタッフは、訪問看護経験者が少ないのですが、どのスタッフも病院にいる時と家にいる利用者様の顔が全く違うことを感じています。とても穏やかで、そしてとてもいい笑顔やチャーミングな顔をされるからです。この笑顔を少しでも増やすために、働いていると言っても過言ではないと思います。とはいえ、経営者・事務・訪問看護師の3足の草鞋を履いて、駆け回るのは大変です。特に、慣れない診療報酬の請求には悩まされ、各方面にご迷惑をかけた1年だったと思います。

十和田市は、明治維新に先立つ江戸末期、吉田松陰の「東北遊日記」に荒漠たる原野とありますように、元は原野でした。現在の十和田市は、この地の碩学新渡戸稲造の祖父新渡戸傳(ニトベツトウ)に始まる開拓の成果です。奥入瀬川から11,362Kmものトンネルを掘り、陸堰を造設し、人工河川稲生川によって引水し、開拓した結果です。

2018040601八枚の葉っぱが集合した法人のロゴは、「緑の杜」を表します。「杜」という文字は、人の手で作り上げる「もり」、地域に必要な多様な事業が杜を構成するイメージです。その中の葉っぱ1枚が「みどりの風訪問看護ステーション」であり、風(みどりの風)が葉を揺らし、新たな未来を創る大きな風車になるようにとの願いを込めました。葉にとまったてんとう虫(天道虫)はかけがえのない命のシンボルです。

ちょうど1年を迎えるにあたり、なにか新しいことを加えたいと考え、ポケットエコーの導入を決めました。先日、地域の大学から先生をお招きして、1周年記念の研修会を開催しました。ステーションスタッフだけでなく、地域で開業されている先生や他の地域の病院看護師、近隣の公立病院看護師にも参加していただきました。訪問看護ステーションで、エコーを導入しても、報酬はいただけません。しかし、エビデンスのあるアセスメントをして、確かな技術と質の高い看護が提供できると考えております。

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また、ご利用者ご家族の強い希望があり、自費の訪問看護サービス(オーダーメイド訪問看護サービス)も開始しました。他のステーションとの差別化は重要であり、今後も地域や利用者の希望があれば、他にない看護サービスも検討していきます。

さらに、2年目にあたり、「偲ぶ会」の開催や、「暮らしの保健室」の開設も予定しております。

地域の方々に、「みどりの風」を知っていただくのはもちろんですが、少しでも安心して、心強く思っていただける存在になれればと思っています。

人は誰もが必ず生命(いのち)の終わりを迎えます。最期の時まで、自分らしく生ききることを全力で支えさせていただけるように、「みどりの風訪問看護ステーション」は、これからもひたむきに全力で看護をさせていただきます。

文責 太田緑