公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:社会的インテグレーション(統合)へ向けて

─社会を巻き込むハンセン病制圧活動へ―

 ハンセン病には二つの側面、医学的側面と社会的側面、があります。

 MDTのおかげで、われわれは医学的な闘いには勝利しつつあります。しかし、社会的スティグマ(烙印)を克服するには、まだ長い時間がかかるでしょう。この病気についてまわる差別の問題を解決しなければ、われわれはハンセン病から自由になるということはありません。その意味で、この闘いは医療的な闘いと同様に重要であります。

 この病気の真の姿を正しく知らせるために、社会のすみずみまで正しい知識を行き渡らせる努力が必要です。そのためにはメディアの役割が重要です。そしてハンセン病に直接関係のない社会組織を広く巻き込み、社会的にこの活動を統合してゆくことが必要です。

 さらに、正しい知識を伝えるためにもっとも力をもつのは、この病気について自分の経験から話ができる回復者の人々です。回復者たちは、いままで、沈黙を余儀なくされてきました、そして、彼らの言葉が一般の人々の耳に届くことはありませんでした。

 しかし、制圧の達成が近くなった今こそ、治療を受けたいと思っている人々を勇気づけるとともに、社会的受容を阻む障壁を取り除くために、これらの回復者の人々の声が届くようにすることが重要です。

 これを実現させるためには、彼らが彼らの経験をオープンに話せるようにしなければなりません。長い社会的差別の歴史は、これを難しくしてきました。つまり、われわれは、このような人たちが声をあげられるような環境、彼らが話すことを広く社会が受け入れるような環境を創らねばなりません。彼らが伝えるメッセージとはもちろん、ハンセン病は多くの病気のひとつでしかなく、治る病気であり、治療を受けることに何の問題もなく差別は許されないというメッセージです。

 医療的側面では、これらのメッセージはよりよく理解されるようになってきました。インドでは、ハンセン病は一般の医療サービスに統合されており、特別な病気ではありません。治療はどの病院でも受けることができます。

 しかし、患者や回復者の尊厳を回復するためには、ハンセン病に対する正しい知識の普及と彼らの社会参加のための活動をより広く社会的に統合することが必要です。

 政府、企業、労働組合、学校、NGOなどを巻き込んだ、回復者に対する人権侵害を許さないという社会的運動が、統合されて進められなければなりません。そして、この運動を進めるためには、回復者の人々により多くの機会を提供し、彼らの声が社会に届くよう努力することが必要です。