公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:統計数字は信頼できるか?

 今年7月に2年ぶりにブラジルを訪問して、驚いたことは、ハンセン病の制圧活動にほとんど進展が見られなかったことです。2002年に当時のカルドーゾ大統領にお会いした時には、大統領から、制圧へ向けての強いコミットメントをいただいたのですが、残念ながら実際の政府・保健省の活動には大きな変化がなく統計数字にも誤りがあることが判明しました。過去6年間にわたって有病率の数字にほとんど変化が見られないなど、保健省みずから数字が信頼に足りるものではなかったことを認めています。「私たちは眠っていた」というのが保健省高官の言葉でした。

 このようなことはブラジルだけに見られる問題でしょうか?今ある統計数字は本当に信頼のおける数字でしょうか?二重登録、誤診などが原因で誤った数字が表されているということはないでしょうか?他の国々においても関係者の皆さんに今一度統計数字の見直しをしていただきたいと思います。

 現在ブラジルでは、昨年就任したルラ大統領の強いリーダーシップのもとで中央政府保健省も州・市町村の保健委員会も総力をあげてハンセン病の制圧に向けての闘いが再始動しました。この再始動に向けてテレハンセン(telehansen)という無料電話相談を全国的に展開し、人気歌手や女優を動員した啓蒙活動を積極的に行っている「モーハン」と呼ばれる組織など、NGOの果たす役割にも大きなものがあります。政府とNGOの強固な連携により今後の制圧活動が進むことを期待したいものです。

 私がお会いしたときルラ大統領は、「失われた時間を取り戻さなければならない」とその強い意志を表明されました。

 ブラジルに限らず、すべての未制圧国の皆さんに申し上げたいのは、制圧達成目標の2005年末まであと1年と2ヶ月しかなく、私たちにはもう失う時間はありませんし、あってはならないということです。未制圧の国々すべてが一つとなって残りの限られた時間の中で統計数字を再検証し、現状を正確に把握し、もっとも効果的、効率的な制圧活動を行うよう、私自身も含めて関係者の一層の努力を注入しなければなりません。 ハンセン病制圧の闘いは、時間との闘いとなりつつあるのです。