公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:新しい動きが始まった

 3月21日インドのニューデリーでマンモハン・シン首相にお目にかかりました。首相官邸の警備は、米国のホワイトハウス以上に厳重でしたが、首相の部屋は思いのほか質素で落ち着いた雰囲気でした。首相は、インドにおけるハンセン病の状況と私達の制圧活動についてよくご存知でした。私に対して「笹川さん、あなたはインドにインスピレーションをもたらしてくれました。あなたは高貴(noble)な仕事をされておいでです」と身に余る言葉をかけてくださいました。私が、首相に、三つのメッセージ「ハンセン病は治る病気である」「薬は無料で手に入る」「差別は許されない」を改めて申し上げると、首相は自らこのメッセージを何回も言葉に出しておっしゃり、「この病気の制圧のために自分も全力を尽くします。そして、三番目のメッセージの患者・回復者・家族の人権の問題についても現状の改善に努力します」とはっきりと強い意志表明をされました。

 IDEA インドのゴパール(P.K. Gopal)博士が、「いままでハンセン病患者や回復者は、自分達に向けられる偏見にもとづく差別を人権侵害だと思ってきませんでした。ただ運命だとあきらめてきたのです」と発言されたことがあります。また、「ハンセン病にかかると、それまで自分が属していたカーストから、ハンセン病というカーストにいやおうなくレッテルが変えられる」と言った回復者の方もおられました。

 しかし、いまや、その回復者たちが、長い間の沈黙を破って、大きな声で自分の意見を発言するようになりました。

 2月から3月にかけてブラジルとインドで行われた「ハンセン病と人権」をテーマとする会議は、国連人権保護促進小委員会の委員による差別の実情調査も兼ねていました。回復者は自らの人生がいかに人間として差別された歴史であったか率直に発言しました。いずれの会議でもその主役は回復者の方々でした。私の主張である回復者こそ闘いの先頭に立って欲しいとの願いが実現しつつあります。社会のすべての人々にハンセン病の正しい知識を知らせる啓蒙活動には彼らが公の場で発言し行動することがもっとも説得力のある方法と信ずるからです。

 ようやく、車輪に例えると、医療面、社会面の両輪が一緒になって走り始めました。新しい動きが始まったと実感しています。回復者の方々を先頭に大きな社会運動として、より広く社会の様々なセクターの人々の参加を呼びかけてゆきましょう。