公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:闘いの道は続く

 このニューズレターは通算50号である。WHOハンセン病制圧特別大使に任命され、その仕事の一つとしてニューズレターを刊行することにした。それから8年の歳月が経過し、ハンセン病を取り巻く環境も大きく変化してきた。

 医療現場では、未だ多くの問題が残されているものの、WHOや各国政府関係者、NGO、現場の医師やヘルスワーカーたちの献身的な努力により、WHOが定めた人口1万人に対してハンセン病患者1人以下というハンセン病制圧目標は、ほぼ全ての国で達成されてきた。唯一の未達成国であるブラジルも、今年のWHO総会で、2015年までに目標を達成するとの宣言をした。

 公衆衛生上の問題としてのハンセン病の世界制圧は目前のものとなってきた。しかし、制圧目標が達成されれば、私たちの闘いは終わりということではない。これは撲滅へのマイルストーンであり、病気の重荷を減らすための努力は続けていかなければならない。

 ハンセン病の患者・回復者とその家族へのスティグマや差別の問題について、昨年9月の国連人権理事会とそれに続く12月の国連総会において、差別撤廃のための決議とそれに付随するガイドラインが、国連加盟国192ヶ国のすべてによって、採択された。これは大きな成果だが、問題の解決ではなく、スティグマや差別への闘いの道具が整ったということに過ぎない。今後はこれをどのように社会へ浸透させてゆくことができるかが問われている。私たちの仕事は、始まったばかりなのだ。

 貧困とハンセン病は切り離せない問題であるのに、世界中で開かれている開発や貧困をテーマとする会議でハンセン病がとりあげられることはほとんどない。ハンセン病は、マイナーな病気として見られ、それに苦しむ人々には注意が届かない。私は同じ人間として、ハンセン病患者・回復者そしてその家族の存在が一般社会の中で無視されていることに、強い怒りを覚える。私たちと彼らの間に、何の違いがあるのか? 私は、彼らの基本的人権を尊重し、彼らの社会復帰なくしては、真の公平かつ公正な社会の実現はないという信念の下、その実現のために戦っている。そしてこれからも、命の続く限り、この戦いを続けていく。