公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:私に課せられたこと

 ハンセン病の制圧は、私に課せられた最も重要な責務である。同時に、患者・回復者、そしてその家族の人権を回復し、かれらが尊厳を持って生きられる世界を実現することにも、最大限の努力を続けている。

 これを実現するための戦略は、私が国連に初めて働きかけをした2003年に始まった。そして2010年には、国連総会が192カ国の全国連加盟国からの賛同を得て、ハンセン病患者・回復者に対する差別を撤廃するという決議を採択した。

 しかし、決議がなされても、それが実行されなければ意味がない。現在私は、ハンセン病と人権の問題についての国際シンポジウムを、アメリカ、アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパの世界5大地域で開催する取り組みを進めている。第一回目のブラジルは既に開かれ、第二回目の会議はこの10月にインドのニューデリーで実施することになっている。

 この一連の地域シンポジウムの目的は二つある。一つは、国連決議とそれに付随する原則とガイドラインにうたわれているハンセン病にかかわる差別をなくするためのさまざまな施策を、各国政府や関連組織に広く認知させること。もう一つは、それを実行に移すことである。会議には国際機関の代表のほか、その地域の政府、人権組織、NGO, 回復者団体など幅広い分野の代表が集まることになっている。

 かって、インドのコロニーを訪問したおり、「私にも人権があるのだろうか?」という回復者の問いかけに心を痛めたことがある。かれらの人権を取り戻すには、多面的で重層的な戦略が必要である。政府に訴えるだけでは足りず、広く社会のすべての構成員の良心に訴える必要がある。

 エレノア・ルーズベルトが言った言葉を思い出す。彼女は普遍的な人権とは、「結局、身近な小さな場所、それもあまりに近くて小さいので、どんな世界地図にも載っていないような場所から始まるのだ」と言った。国際機関、各国政府、その他多くのステークホルダーへの一層の働きかけが重要であるが、エレノア・ルーズベルトの言葉どおり、グラスルーツからの啓蒙活動はさらに重要である。私一人でできることはあまりにも小さい、皆さんの協力が不可欠である。共に一歩ずつ前進してゆこう。