公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:ハンセン病と顧みられない熱帯病

 最近NTD(Neglected Tropical Disease:顧みられない熱帯病)との闘いにWHOも努力を傾注しており、民間財団や製薬会社なども活動を活発化させようと努力中であり、大いに歓迎すべきことである。

 ただ一点私が不満に思うことは、NTDという呼び方である。これは専門家や支援しようとする側のスタンスであって、日夜病気との闘いに苦しんでいる患者にとっては一時たりとも忘れることなどできないことである。これらの患者たちの救済に携わる側が、患者を見下すように「顧みられない」病気と呼ぶのは誠に失礼なことである。病気に苦しんでいる人がいる限り、「顧みられない」病気などは存在しない。

 NTDとの闘いに多くの支援団体が参加することは喜ばしいことであり、当然、当該発展途上国政府との共働作業が不可欠である。しかし、私が30年前にハンセン病の制圧と人権問題の解決に奔走し始めたころ、各国政府と共働することが必要だとする私の主張は少数意見であった。そのころ多くのNGOは、汚職の噂の絶えない発展途上国の政府と共働することは好ましいことではないと、私の活動を非難したものである。

 しかし、公衆衛生の問題が、WHOは勿論のこと、当該政府、NGOや他のステークホルダーの相互協力の努力なくしては達成できないとした私の主張が正しかったことは、ハンセン病の世界制圧を目前にした今、立派に証明されたと考えている。

 そして、ハンセン病制圧は、WHOにとって天然痘撲滅以来の画期的成果であり、ハンセン病以外のNTDの撲滅に関与されるステークホルダーに素晴らしい前例となるのではないかと自負している。

 ハンセン病制圧も間近に迫っているものの問題は山積みしており、いまだ世界中で年間20万近くの新患者が発生している。ハンセン病の根絶への闘いと回復者の汚名・差別への闘いを更に進めていくため、残りの人生をかけて全力を尽くし、活動を更に強化したい。