公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:中嶋博士を偲ぶ

 WHO元事務総長の中嶋宏氏が、1月26日、パリ郊外で84歳の生涯を終わられたとの知らせを受けたのは、ベトナム滞在中の27日であった。

 中嶋氏は1979年から1988年まで、WHO西太平洋地域の事務局長を務められた。当時からハンセン病の制圧に強い関心をもたれ、後述するように制圧の動きを開始してくださったことを我々は忘れてはならない。

 前事務局長のジョン・ウォクリー博士もハンセン病制圧に尽力された人であった。彼は笹川記念保健協力財団のフェローシップで、ハワイ大学で研究された。後に、偶然中嶋氏と飛行機の中で知り合いになり、WHOにスカウトされたとの逸話もある。

 中嶋氏は1988年に事務総長に選出され、胃癌の手術後も世界を飛び回り、1998年まで「ヘルス・フォ・オール」、全ての人々の健康のために、自らの健康をも顧みられず、人道的見地からの活動に奔走された。常に現場主義の大切さを身を持って示され、エボラ出血熱の対応にもいち早く現場で指揮をとられたことは、その後の私の活動に大きな刺激・示唆をあたえてくれた。

 ハンセン病が人口一万人に一人未満の患者数となったとき、これを「制圧」と定義し、2000年までに世界制圧を達成するとの宣言を行ったのは、氏の指導による1991年の総会であった。その3年後、1994年のハノイ会議で、私は日本財団がMDTを5年間世界への無料配布することを発表した。氏の強力な指導力と率先垂範する実行力があれば、必ずやハンセン病の制圧に成功すると確信したからである。

 ワインをこよなく愛しソムリエの資格を持つ氏と、ブラジルの制圧を達成してのハンセン病世界制圧に祝杯を挙げることができなかったことは、誠に残念であった。

 氏のご冥福をお祈りします。