公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:ダライラマ師との約束

 今年の3月ダライラマ師は私と共にインドのデリー近郊にあるハンセン病コロニーをお訪ねくださった。師は、車を降りられてすぐ、周りをとりまく(師の到着を心待ちにしていた)ハンセン病の回復者やその家族の人々のところに向かい、自ら手を差しのべられて、挨拶をされ、幸せを祈られた。

 ダライラマ師に初めてお会いしたのは、10年以上前、私と当時のチェコの大統領でおられたヴァーツラフ・ハベル氏が組織したプラハの国際会議であった。そのとき私は師に、私がインドを中心に、世界中でハンセン病をなくす仕事に従事していること、インドからハンセン病回復者の乞食をなくすことが夢であることをお伝えした。

 師もインドでハンセン病の患者・回復者のために一生をささげたババ・アムテ氏の仕事を援助されていること、ご自分も患者・回復者の方々の生活の改善に大きな関心をもたれていることをお話しくださった。その後も師は、私が始めた「ハンセン病のスティグマと差別を撤廃するグローバル・アピール」の賛同者になってくださり、また、差別撤廃のビデオメッセージを世界中に発信することにもご協力をくださった。

 師は3月のコロニー訪問時に、ハンセン病の回復者、家族のためのご寄付を、師の財団を通じて拠出することを約束してくださった。

 私は、師の温かいお気持ちを実りある成果へと結び付けたいと考え、日本財団からも同様に資金を拠出して、ハンセン病のコロニーに居住する、若い世代の患者や回復者、あるいは、ハンセン病の回復者を親にもつ少年少女に対する奨学金制度をつくることをご提案した。師はこの申し出にご快諾をくださり、このたび、11月に私がインドを訪問した折に、この奨学制度の設立を発表することができた。

 コロニーに住む少年少女たちは、根強いスティグマと差別のために、高等教育を受ける機会も財政的な余裕もなく進学をあきらめる者がほとんどである。このような若者が、差別や貧困を乗り越えて、将来の社会のよき指導者となることを期待して、このダライ・ラマ=笹川奨学金を実りあるものに発展させましょう、と私は師にお約束した。

 いずれ、これらの若い世代が大学を卒業し、社会に出るときには、コロニーは一般の社会に溶け込み、隔離や差別がインド社会からなくなっていることであろう。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平