公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧メッセージ:新患数の増加は恥ではない

 ハンセン病の新患数が増加することを私が望んでいると聞かされたら、皆さんは驚かれることと思う。しかし、それには理由がある。

 私たちは長い間、ハンセン病の患者数を減少させることを目標に、WHOが設定した有病率を1万人に1人以下にすることで公衆衛生上の問題としての制圧を達成することに努力を重ねてきた。

 私は、この数値目標の設定は間違っていなかったと確信している。制圧目標はあくまでも根絶へのマイルストーンである。今日、ブラジルといくつかの島嶼国を除いてほとんどすべての国が達成に成功した。

 しかしながら、多くの国で制圧達成後、何年もの間にわたって、ハンセン病の新患者数には大きな変化が見られず、横ばい状態が続いている。一つの理由としてとして考えられるのは、私たちが数字を減らすことにばかり集中するあまり、それが知らぬうちに心の重荷(トラウマ)となっているからなのではないか。患者を減らすことに最重点をおいて活動してきたので、患者数が増加すれば批判を浴びる。それを恐れて、誰もより多くの患者を発見する活動に注力することを好まない。しかし、患者数が増えることは恥でもなんでもない。

 この間訪問したDRコンゴでは保健省がこれからの行動計画に、新たに発見される患者数を50%増加させるという目標を提示している。そのために積極的な患者探しの活動を行う決意を表明した。

 このような活動計画は、一時的に患者数を増加させるかもしれないが、結果的には患者の早期発見につながり、患者数の減少を最終的にもたらすことは明らかである。

 重ねて申し上げるが、新規患者の増加は恥ではなく積極的な活動の成果として評価されるべきことである。私たちの知らないところでハンセン病に苦しんでいる人たちは未だに存在するし、ホットスポット(高蔓延地区)といわれる場所も存在する。今一度新規患者発見に大いに努力しようではないか。それが2013年のバンコク・サミット宣言の主旨であり、日本財団の2000万ドルの追加支援の目的でもある。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平