公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:世界記憶遺産登録への道

 世界各地にはハンセン病患者、回復者の苦悩に満ちた生き様の歴史を示す建造物や、文学・芸術作品など多様な歴史資料が存在している。それらは「負の遺産」、「負の歴史」として語られることが多い。今、この歴史を次世代に引継ぎ、残していこうという動きが世界中で起こりつつある。

 日本には、歴史的建造物はもとより、過去100年余りのハンセン病の歴史を生きぬいた人々の軌跡が、自治会の活動記録、周年誌、全療協の活動記録などとして残っている。また、療養所での隔離生活を余儀なくされた人々の優れた著作、和歌、俳句や絵画、陶芸作品なども残っている。これらは過酷な状況に置かれながらも、差別と向き合いそれを乗り越えてきた生命の輝きの歴史である。

 これらの様々な歴史的資料から、当事者の思い、不当な差別に対する闘いの記憶を確かめることが出来る。彼らがそれを乗り越えるために必死に戦ってきた記録を保存することは、この問題を当事者がいなくなっても風化させず、次世代の人々に人類が犯した大きな過ちの歴史として残し、継承される必要と価値があるものだと思う。

 今、日本財団と笹川記念保健協力財団では、国内の専門家を集めて、このハンセン病を生き抜いた人々の歴史と記憶をユネスコの世界記憶遺産として登録するべく調査活動を開始している。数ある記録の中からなにを選び、ハンセン病患者が生きてきた歴史としてなにを残すかという大きな課題に向かって、回復者の全国組織である全療協のご協力をいただきながら2017年6月の申請を目指して議論を進めている。

 いずれは、世界で同じ思いをもつ人々の協力を得て、各国でハンセン病患者の歴史が世界記憶遺産登録され、さらには世界遺産とする道筋を歩みたいものである。皆様のご批評、ご指導を願いたいものである。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平