公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:顧みられない熱帯病

 4月19日にWHO本部で、マーガレット・チャン事務局長の主導により、NTDs(顧みられない熱帯病)世界パートナーズ会議が開かれた。

 このNTDs (顧みられない熱帯病)と呼ばれる様々な病気によって、世界中で10億人の、特に貧困層の人々が深刻な影響を受けている。病気と日夜闘う患者にとっては、“顧みられない”という言葉は心を痛める響きがある。

 しかし、対策は進みつつある。会議では新たな2030年に向けた持続可能な開発目標の「誰も置き去りにしない」というスローガンのもとで、ビル・ゲイツ財団をはじめ、英国、ベルギーなどの政府、あるいは製薬会社がこの病気群との闘いのために大きな額の資金や薬の拠出を約束した。立派な支援枠組みができたが、問題はどのように今後活動することができるかである。

 私は、この会議で発言の機会を与えられ、ハンセン病との40年間の闘いの経験を以下のように述べた。「NTDsの活動はハンセン病と同じく医療面のアプローチとスティグマと差別という社会面のアプローチの必要性を包含する。具体的な活動の重要なポイントは、1)当該国の政治リーダーのコミットメントを確保すること、2)多くの人に病気について周知させ、治療を受けさせるために、メディアの協力を得ること、そして3)持続可能な協働イニシアティブを形成すること、すなわち、製薬会社や患者、回復者を含む様々な組織との連携と継続的な活動を行うことこそが問題解決への道である。」

 加えて私は、回復者がより積極的に社会啓発、患者発見、リハビリテーションなどの活動の主役として参加していける道をNTDsでも広げていくことが重要だと考えている。なぜならその病気のことをもっともよく知っているのは当事者たちなのだから。その点で今回の会議ではNTDsの回復者たちが数人しか出席していなかったのが残念であった。

 今までの私たちのハンセン病制圧活動から、NTDsの制圧に向けてできる限りの情報と経験の共有を図りたく思う。最後に忘れてならないのは、会議参加者が言った「we care for people」(我々はまず人々のためを考えている)という言葉と「see the faces behind the numbers」(数ではなくその人々の顔を思い浮かべよ)という言葉である。私たちは病気だけでなく、病気に苦しむ人々と直接に向き会うことが大切なのだ。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平