公益財団法人笹川記念保健協力財団
English
文字サイズ文字を大きくする文字を小さくする

WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:新たな国連決議

 2003年にジュネーブで、当時の国連人権高等弁務官代理であったバートランド・ラムチャラン氏に、ハンセン病の患者、回復者そしてその家族を苦しめてきた差別、スティグマの問題、人類の歴史上長い間見向きもされなかった巨大な人権問題を国連が取り上げるよう訴えた。

 ラムチャラン氏は率直にこの問題を国連機関が取り上げてこなかったことを認め、どのようにしたら道が開けるかを丁寧に教えてくださった。この会見が、その後の2010年の歴史的な国連総会決議「ハンセン病患者、回復者、その家族に対する差別の撤廃」を導きだすきっかけとなった。84カ国に上る国々が共同提案国となったこの2010年の決議案は、その年の12月の国連総会で、192カ国の全会一致で承認された。

 この2010年の決議案は、日本政府と84カ国に上る共同提案国が提起したが、差別をなくするための具体的な行動指針である「原則とガイドライン」をともなうものだった。それから7年たった今年の6月の第35回国連人権理事会において、再度日本政府の呼びかけにより、ハンセン病と人権の問題についての特別報告者を任命することが提案され、承認された。

 この特別報告者の役割は、「原則とガイドライン」を各国がどのように受け止め、施策に取り入れてきたのか、効果的な施策の実践のためにどのような方法がとられているのかを実地に検証し報告し、必要な場合には現状の改善を示唆することにある。これまでハンセン病と人権の問題については、日本は官である政府と私たち、民の双方が密接に協力しあって決議への道を歩んできた成果であった。

 重ねて言うが、ハンセン病の差別とスティグマは長く見過ごされてきた問題である。この差別の歴史は長く、そして深いものがある。しかし、われわれはいまこの歴史を終わらせる道を進んでいる。

 各国政府においては、2010年に採択された国連決議の「原則とガイドライン」の具体的履行が各国政府によって効果的になされているという報告が、新たに選ばれる特別報告者からなされることを強く期待したい。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平