公益財団法人笹川記念保健協力財団
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WHO Goodwill Ambassador's Newsletter For The Elimination Of Leprosy

制圧大使メッセージ:特別報告者への期待

 9月に行われた国連人権理事会において、ハンセン病の患者、回復者、その家族に対する差別撤廃の問題を担当する新たな特別報告者が任命された。11人の秀でた応募者の中からポルトガルのアリス・クルス博士が選任された。

 ハンセン病は数ある病気の中で旧約聖書の時代から強い差別を受けてきた特異な病気である。病気の治療はWHOを中心に各国で進められ、治療薬MDTのおかげで患者数は激減してきたが、病気からの回復者への社会的差別は現代まで放置されていたといっても過言ではない。

 2003年、私は国連人権委員会(現在理事会)を訪問し、この差別撤廃を訴えてきた。ハンセン病の差別は政治、宗教、人種、国境を超えた世界の人々に知られざる大きな差別問題であった。幸い、日本政府・外務省のご協力により2010年国連総会において194ヶ国全ての加盟国の賛同を得て差別撤廃決議が採択された。

 現国連人権理事会諮問委員のエチオピアのイメル・タマラッド・イゲツ氏も、2010年に決議と共に採用された原則とガイドラインが各国でどの程度実践されているかの報告書を2年間でまとめられ、特別報告者の設置を強く訴えてくれたのである。

 国連組織は財政難でもあり、新たな制度の構築には消極的雰囲気であったが、日本外務省とジュネーブの志野光子人権担当大使の獅子奮迅の働きと、各国代表の理解と協力によって、この度の特別報告者アリス・クルス博士が選任されたのである。この決定及びその過程で協力してくださった全ての関係者に感謝の誠を捧げたい。

 クルス博士には可能な限り諸国の実態を把握してもらい、特に残された差別法や制度、慣習についても調査していただき、真に患者・回復者とその家族が、差別のないインクルーシブな社会で生活できるよう道筋をつけてもらいたい。彼女の活動成果に期待すると共に、われわれ関係者も彼女の活動を支援しようではないか。

WHOハンセン病制圧大使 笹川陽平