[会長ブログ ― ネコの目]
差別しないで下さい!!

先週は、本年新たに開始した、福島医大、長崎大学と弊財団共催の「放射線災害医療セミナー」、日本全国・・北海道から鹿児島までの医学、看護学、薬学の学生院生諸氏と日米ハイブリッドのスタンフォード大学生が加わった22名の研修生の真摯な学びに参加しました。開講式の後、トップバッターを仰せつかった私の災害概論の講義後、初対面の若者たちから、私の後期高齢者突入を祝うホンワカ暖かぁい寄せ書きを頂戴しました。感動、涙です。
講義は、3.11に立ち向かわれた福島医大の諸先生、それを支援された長崎大学からの先生方、特に弊財団のチェルノブイリプロジェクト以来、世界の放射線災害の先頭に立っておられる山下俊一先生らの、贅沢な顔ぶれ、そして地域検診や、福島第二原発の見学など盛り沢山。
特に、福島医大の先生方のご尽力での第二原発見学は言葉にならない経験でした。私自身複雑な経路と厳重な防具をまとっての見学に付いてゆけるか、密かに心配でしたが、頑張って若者についてまいりました。炉の真下に到った時、まるで神の世界に入ったような畏敬と畏怖の気持ちでした。そして、そして、かつては耕作されていただろう地には濃い緑の草が茂り、双葉町とか浪江町など、あれ以来耳慣れた地名が道路標識に現れる街道沿いの集落の多くは、まだ、無人の家々が静かに並んでいました。つらい・・・つらい見学でもありました。
さて、前半の福島医大での講義の最終日、研修生はリサーチよろしく、昭和29年創業の有名な餃子の店「川鳥」を見つけました。ちょっと風変わりで、とても美味しい「円盤餃子」と、とろりとしたスープの水餃子、皆、食欲が亢進し、にぎやかに、お国自慢が弾んでいましたが、お店の大将のお話に、ここはあのフクシマなのだと、実感させられました。
実は、前夜にも、何人かが「川鳥」にたどり着いたそうですが、「もう、店じまい」だったのですが、大将が隣のお店でご馳走下さったそうです。理由は、日本各地から「福島に来てくれた」ことに対するお礼だったと聞きましたので、そのお礼も兼ねて、翌日、全員で繰り出したという次第でした。が、皆のお腹が膨れて、少し、食べるスピードがダウンした頃、アンパンマンの顔が付いたエプロン姿の大将がお顔を出されました。昨夜のお礼を申し上げるのをさえぎって、大将は、「沢山の若者が、よく、福島に来て下さった」とお礼を述べられました。

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福島には沢山の問題があります。そして、その中でも、何時までも根深い問題は、放射能の汚れがうつるといった、まるで根も葉もない差別、また、福島産物への風評被害でしょう。いくつかの事例を話された大将は、最後に、こうおっしゃいました。
「もし、あなた方が、将来、一生を共にしようとするパートナーにめぐりあった時、その人が福島出身だと知っても、断らないで欲しい」
そして、大将は、少し涙ぐまれました。
私ども、笹川財団は、ハンセン病の罹患者、回復者とそのご家族の人権を護り、差別をなくすることに対する活動をして参りました。福島への偏見もハンセン病への偏見も、偏見や差別は、当事者の問題ではなく、すべて当事者以外が持つのです。
無関心という態度も、それらの問題を助長しているかもしれません。
福島での研修は、今年が最初ですが、大学や原発見学では学べない学習もありました。
あなたは福島に対して関心がありますか?
あなたは福島の産物に偏見を持っていませんか?
あなたは「福島」を差別していませんか?