[会長ブログ ― ネコの目]
世界で初めて

錦織圭選手が、日本人ではじめてテニスの四大大会の決勝に進出しました。素晴らしいですね。心からお祝い申し上げます。
四大大会とは、全豪オープン、全仏オープン、全米オープンと地名の後ろにopenがついている3大会と後ろはchampionshipつまり選手権がついているウィンブルトンです。時々、グランドスラム(Grand Slam)達成とありますが、これは国際テニス連盟がお墨付きを与えている上記の4大会の全てを、同一選手が制覇することです。
テニスのルーツは古く、宗教的な儀式としてエジプトで始まったとされ、紀元前15世紀頃の壁画にその片鱗がのこっているそうです。そしてそれは、当然、古代ローマにも引き継がれたのですが、既に遊び的に変形していたとされていますが、現在のような洗練された形のテニスのルーツは、ウマイヤ朝に支配されていた8世紀頃のフランスで、僧院での宗教的儀式や貴族の遊びとして広がったそうです。つまり、イスラム国家では宗教儀式の一環だったのでしょうが、地元の貴族では遊びとして・・・日本の蹴鞠や、流鏑馬、京都の蓮華王院本堂の通称三十三間堂で行われる通し矢なども宗教的でありますね。
毎度、古いお話です。半世紀以上前、天皇皇后両陛下のめぐり会いが、軽井沢のテニスコートであったことに由来するテニスブームが起こりました。医学部に入った頃、私もミッチー様ご愛用とされるラケットやテニスシューズ、ソックスなどなどを整え、大学のテニスクラブで励みました。きびしい先輩の怒声ばかりで、素敵なパートナーにはめぐりあわないまま・・・・
近代以降、イギリスでは、王室の関与からロイヤル・テニス、王室のないアメリカでは、コート・テニス(宮廷のテニス)と呼ばれて広まったそうですが、その昔、フランス語で“jeu de paume”(掌の遊戯)と呼ばれたように、手掌で球をうっていたとか。また、ご主人さまである貴族が打つために、最初の球を放り投げるのは従者、つまりサーバントが、行うサービスが最初の攻撃・・・の名残が、今もサービスとよぶ所以とか。現在は、スポーツも民主化されて、サービスも全部自分でやっているのですね。そもそものボールは、石などに糸や紐を巻き付けたものでしたから、手で打つのは痛かったでしょう。手袋も用いられていましが、あるいはもっと遠くへ打つための道具としてラケットが生まれたのかもしれません。ちなみにラケットの語源はアラビア語。それも卓球(table tennisと云いますね)のラケットとは異なりガット(gut)がはられています。Gutとは、消化器官、胃腸のことですが、牛や羊の腸から作成した繊維のことを申します。現在は、人工繊維が使われていても、テニスラケットの網目やクラシックギターの低音部の弦をガットと云うのは、その昔に「腸」から造った線を使っていた名残です。その他、コートの質は天然芝lawn、クレイ(clay色々な土)、アンツーカ(en-tout-cas焼成土)、ハード(hard コンクリート)など色々ですが、大きさは、縦23.77m(78フィート)、横はシングルスで8.23m(27フィート)、ダブルスで10.97m(36フィート)で決まっています。
有名なウィンブルトンは、1877年、イギリスはロンドンでアマチュア大会として始まりました。当時のイギリスは、1837年に18歳で即位したヴィクトリア女王の時代、当時の世界の大半ともいえる多数の植民地をもち栄華を極めた大英帝国ヴィクトリア朝時代です。そしてこの年の1月1日、ヴィクトリア女王はインド女王として即位しました。日本は、明治10年、すなわち2月15日には、わが国の数少ない内戦である西南の役が起こった年、日本の近代化の礎が固まる時でした。つまり、テニスは近代になって始まったスポーツなのですね。さて、近代化したはずの世界は、まだ、紛争や災害や疫病、貧困を克服できません。
今後の錦織選手のご健闘とグランドスラムを期待致しますとともに、世界の社会的問題のグランドスラムも目指さねば、と思います。