[会長ブログ ― ネコの目]
人生の完結時を看取る 緩和ケアを支える医師たち

弊財団は、2001年、「ホスピス緩和ケアドクター研修」支援を始め、2005年からは、研修を終えた医師のネットワーク活動支援もはじめています。たった、年1度ですが、各地各施設で緩和ケアに従事されている医師たちが一堂に集まり、ご希望の講師の講演と、情報交換をされる場を提供させて頂いています。2014年11月現在、この研修を終えた「ホスピスドクター」は80名、本年の研修者は5名です。
さて、世界の高齢社会の最先端にあるわが国では、これまでの医療施設で病気を治す治療
cure的医療サービスと、地域や住み慣れた自宅で衰えつつある健康と折り合いをつけながら生をまっとうする療養care的保健サービスのバランスがきわめて重要になっています。国が進める地域包括医療はそのための施策であり、私どもが支援させて頂いてきたホスピス緩和ケアに関する人材育成や在宅看護センター起業看護師育成は、それを先取りしたものと申せます。
先週末、本年の「ホスピスドクター研修ネットワーク」の情報交換会が開かれました。
ちょうど10年目のため、修了年度の異なる5名の医師たちが、色々なご意見を発表下さいました。半世紀も前に医学部で学んだ私には、どなたのお話も、ある意味斬新である一方、技術的には果てしなく進んでいる医学の中で、この分野におられる若き俊英たちが、あくまで医の原点から一歩も動かないお覚悟であられることをヒシヒシと感じ、ちょっと胸があつく、また、痛くなる想いを致しました。実際には、かなりご経験のある、つまりそれなりにお年を召したドクターもおいででしたが、後期高齢者の私には、どなたもピカピカに若く、そして美しく見えるとともに、当分野がドンドン、マスマス発展しているのだろうと、ちょっと誤解してしまいました。
時代は、地域、在宅医療ブームです。ここで使うには不謹慎な言葉ですが、最近の医療ニュースでは、ネコも杓子も地域包括医療、在宅医療、家庭での看取りです。高齢者だけでなく、各種の病苦の最後、つまり人生の最後は住み慣れた自宅で、家族に見守られて・・と思われる人々が増えており、そのためには何処であれ、緩和ケア、ホスピスケアの経験をもった医療スタッフが必要、私どもの支援はその一環に過ぎない・・・微々たるものとばかり思っていました。
不勉強なことでしたが、意見交換会の後の懇親会の席で教えて頂いたこと、そしてインターネットで確認したことですが、公益財団法人 日本医療機能評価機構によりますと、緩和ケアで認定された卒後臨床研修病院は、全国8,512病院の中でたった32施設(2014年12月20日開始を含む)でした。そして、大学病院は、藤田保健衛生大学七栗サナトリウムだけ、この分野の人材育成は、まだ、この道を切り開かれた先達、第一世代のドクター方を中心とする、いわば手仕事的レベルにあることに、ちょっと愕然としました。
ただ、10回目の意見交換会にご参加下さった先生方は、皆、とてもマイルドなパーソナリティとお見受けしましたが、科学的に病気を視ることは当然としても、その域に留まっておいでの方は絶無、病気を持った人を診ること、そしてその背後にある生活を観て、社会を見ておられるという、医の原点に立たれていることを深い敬意をもって拝見しました。
先生方のご活躍を祈念するとともに、この分野の適切な発展のために、弊財団は何をなすべきか、ご支援させて頂く事項を改めて考え、その意義、意味を思い知った一日でした。

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情報交換会では活発な意見交換が行われた