[会長ブログ ― ネコの目]
北海道

6月に始まった新事業「日本財団在宅看護センター」起業家研修も追い込みに入っています。後期講義と開業計画に追われている研修生一同と、病院でのcureと在宅でのcareの連携を見事に実践されている(と私は思っているのですが)函館市の高橋病院の見学を企画し、北海道に参りました。
先行した私は、同郷兵庫県出身で救急災害医学のバリバリ研究者だったものの、ご趣味の写真を理由に、北海道単身赴任6年目の村山良雄先生(清水赤十字)のガイドで、帯広、芽室、清水、夕張と4自治体の地域医療/在宅看護について見聞させて頂きました。
帯広への機上からの北海道は、しぶい緑、茶色、まっ黒と三色の区画が果てしなく広がり、その間を縫う道筋の所々に家々が見えます。昨今、限界集落を超え、消滅地域などという言葉もありますが、人口密度は東京(6,113人/Km2)に比し1/100の北海道(61.2人/Km2 2014年)は、そもそも過疎状態が当たり前だったのですね。今後の人口減時代の地域をどうするかは、北海道に学ぶところがあるはず・・・そんなことも思いました。ちなみに、日本国の人口密度は337人/Km2、世界最高は、都市ではマカオ(20,562)、国ではモナコ(24,728)、少ない方はオーストラリア(1.2)、カナダ(1.5)、モンゴル(1.7)です。(United Nations World Population Prospects)
どの国どの地域の文化も、長い間の生活、習慣、歴史と関連していますし、それぞれの暮らしつまり文化はその地の産業とも関係しています。今回、2日間で走り抜けた200Km強は、わが国有数の農業牧畜地帯 十勝平野ですが、ジャガイモ、長芋、そば、大豆、甜菜など、北海道ならではの作物ほか、ありとあらゆる野菜がとれるところ…と申しても、残念ながら、この時期は収穫後の広大な畑の広がり、機上から見たしぶい緑は短い草、茶色は大地、黒は肥料をまかれた土地と判りました。そしてその間の所々に、何々牧場と書かれた門標が現れます。何頭かの乳牛の姿が眺められました。
荒れ模様の天気予報でしたが、晴れオトコのドクター村山のお蔭で、ホンの少しの吹雪、時雨はありましたが、国道38号線や道東自動車道を帯広から札幌まで、傘をさすことはなかったのですが、車外温度は-1~2℃を行き来し、瞬時に天候が変わる雪国の様子は感じられました。交通量は少なく、対向する車もわずかでしたが、真夏には渋滞もあるとか、それはそれで結構なことだと思いました。街に差し掛かると、病院や診療所がありますが、郊外の高齢者は、殊に雪の季節はどうなのか…そんことも思いましたが、2,30km毎に町はある・・・ちょっとホッとします。
本来の目的の地域医療/在宅看護の様子は報告書にゆだねるとして、ここでは、今回訪問させて頂いた中から、2007(平19)年、財政再建団体(のちに財政再生団体)に陥り、市のホームページに、誠にユニークな借金時計がある夕張市の印象を記します。
夕張メロン、そして映画祭、財政破綻、日本一高齢化の街の日本一若い市長そして、借金時計と話題豊富なこの街ですが、市のホームページによると、明治時代、石炭の大露頭が発見され、わが国有数の炭鉱の街として繁栄し、最大人口は11万人もあったそうです。かつて住んだ九州でも、日本の近代化をけん引した石炭の街々が、その枯渇、事故、そしてエネルギー源が石油にとってかわったことによって衰退しました。ここでも、同じ経過があったのです。後から、よそ者が批判すべきではありませんが、石炭産業の衰退を見越した新たな街興しの規模が本来の街の機能に比し、無謀であったのでしょう。人々も、町の為政者も、当然、今の状態は想定しなかった、できなかったのですが・・・・市長がおっしゃる「課題先進地域夕張」の経過を学ぶことは日本の将来に有用・・・ムーディーズがランクを下げた日本の国債・・・そんなことがないことを切望します。・
現在の1/10の人口は、いわゆる限界集落現象とは異なり、町の財政破綻という、いわば人工の事象で街を去った人が多いこともあるようです。しかし、東京都から派遣された後、この街に戻り、よそ者ながら見事に市長選を勝ち抜き、復興を先導されている若き鈴木直道市長、この街の人間ですからと、高齢者ばかり…の街のケアを支えておられる横田看護師ら、市の破たん前から「がんばって」おられる市診療所長兼理事長の歯科医八田先生、市長イニシアティブで生まれた街の一角にある新しい「歩」、「萌」団地などなど、誰にも優しい新たな夕張の復興も感じました。皆様のご健勝とご活躍を祈るとともに、次回、名物メロンの時期(6~8月上旬)に再訪したいものです。

夕張写真.jpg
鈴木直道夕張市長と村山ドクター
写真 2.JPG
夕張医療センター

 
参考
夕張再生市長 夕張市長 鈴木直道 講談社
やらなきゃゼロ!! 鈴木直道  岩波ジュニア新書