[会長ブログ ― ネコの目]
子どもの本

ここしばらく、昔読んだ本を懐かしく思い出して読み返しています。

私が、子どもだった頃、つまり第二次世界大戦敗戦直後、どこにもそれほど豊富な本があった時代ではありません。ただ、田舎ながら、多少の書籍があった生家では、子どもにとって面白いとはいえないまでも、本になじむことは可能だったように思います。

そんな頃、初めて自分の本を手に入れたのは、おば(父の妹)が買ってくれた「小公子」でした。この本は、イギリスの名門伯爵家の跡取りとして見つけ出されたアメリカ生まれの少年が、頑な祖父の気持ちをほぐして行く物語です。記憶にあるのは、初めて会った時、厳めしい伯爵オジイサンが立ち上がる際、痛む足をかばうために、少年が肩を貸す場面、痛風と云う病気を知りました。

続いて、日本の「ノンちゃん雲に乗る」。

この児童向け読み物は、「ある春の朝」の章、「いまから何十年かまえの、ある晴れた春の朝の出来事でした。・・・・当時の東京府のずっとずっと片すみにあたる菖蒲町という小さな町の、またずっとずっと町はずれにある氷川様というお社の、昼なお暗い境内を、八才になるノンちゃんという女の子が、ただひとり泣きながら、つうつう鼻をすすりながら、ひょうたん池のほうに歩いている」ところから始まります。

ノンちゃんは、赤痢で死にそうになった経験があり、「看護婦」さんと呼べずに「カンゴク」さんと覚えています。後に、医学部を目指す少女になりますが、雲に乗ったノンちゃんの幻想は、この齢になって読んでも、ほんわかします。

続いて「赤毛のアン」。

最初、中学生の頃、粗末な紙の2巻本、多分、これが先年、テレビドラマ化された村岡花子氏の訳だったのでしょう。この本は、10年ほど前に出た12巻位のものも、読みました。その時に気づいたのですが、「赤毛のアン」は、確かに一人の少女、女性の人生を描いた、一見、子ども向けの物語にみえますが、著者モンゴメリーの哲学がちりばめられており、人生訓あり、環境保護あり、同じ本ながら、子ども時代とは異なる印象を持ちました。

1950年代、中学生になった頃からは沢山の本が出版されるようになりました。

次々に出版される岩波少年少女文学全集が楽しみでしたが、今のように、簡単に買える状況ではなく、次は何を買うか・・・よく考えねばならない、したがって、立ち読みの名人にもなっていたようです。

当然、学校の図書は、良く活用しました。怪盗ルパン、三銃士、ドン・キホーテ、ガリバー、ロビンソン・クルーソー、トムソーヤの冒険などなど、今から思うと、やや冒険ものが好きだったようですが、後に、紛争地で働くと、現状は、物語のような優雅ではなかったです。

そんなこんなの中で、総括としてお勧めは、
松岡享子氏「子どもと本」 岩波新書 たった820円で、違う世界に入れます、そして、
ノンちゃんの作者、石井桃子氏の新編 「子どもの図書館」 岩波現代文庫 これもわずか1040円です。そして解説は松岡享子氏。

同じ本を繰り返して読んでも飽きない・・・それが本当の本なのですね。また、数年後に読んでみたい、と思っています。