[会長ブログ ― ネコの目]
Cats’ index ネコ指数 2

少し間があきましたが、先のフィリッピンのネコ写真に、2,3の旧知から、少しやせていますね、との便りをいただきました。そうです。「ネコ指数」的には、フィリッピンの保健医療状態は、まだ、万全ではありません。

ネコ指数=Cats’ indexとは、かつて、色々な国の保健医療関連の仕事に関与させて頂いていた頃、各地でネコ写真を撮り、大胆にも、ネコのやせ具合=栄養状態から、世間一般に使われている保健指数になぞらえていたことを思い出しました。

半世紀前の医学部学生の頃、かすかに記憶する衛生学や、後に専攻することになった小児科の講義で、「乳児死亡率(Infant mortality Rate/IMR. 生きて生まれた赤ん坊1,000人が1歳になるまでに亡くなる比率、通常はX(人)/1,000(出生数)で示す。)はその国の生活文化水準を現す」と教わりました。つまり、赤ん坊がたくさん亡くなる状況にある国では、保健医療サービスはもとより、各種の社会インフラが不備で、人々の生活水準も高くはないと、当たり前と云えば当たり前すぎることも示す、という次第です。

国際保健分野では、これに代わって5歳未満児死亡率(Under 5 Mortality Rate/U5MR)をよく用います。これは、1歳未満を5歳未満にまで広げたこどもの死亡数です。年齢の幅を広げると、それだけたくさんのこどもの経過を見ることになりますので、悪化してもあるいは改善しても、数字の動きが大きくなり、行った対策の成果が判り易くなります。

ちなみに、日本の乳児死亡率は、近年2程度、つまり千人の赤ん坊がうまれると、その内の二人は1歳までに、命を失う・・・世界で最悪なののはシエラレオネでで117、つなりこの国の赤ん坊は、生きて生まれてきても、1歳までに117人、10人に一人はなくなっている・・・のです。

ついでに申しますと、最も頻用される保健関連の指数は平均寿命です。世間一般に言われている「平均寿命」とは、その年に生まれた人が「社会情勢や大災害などの変化が無い限り」何歳まで生きられるかを示したものですが、何となく、自分たちは何歳位で死ぬのだと、誤解されている向きもあります。日本は、2014年に、男性は80.50歳、女性は86.83歳ですが、これは2014年、つまり去年生まれた人々は、社会の大変化がない限り、男性は80.5年、女性は86.83年生きるであろうとの推計で、今70歳の女性があと86.83-70=16.83年で死ぬ、というのはありません。

また、女性には妊娠・分娩・授乳という重要な役割がありますが、その女性特有の指数に、妊産婦死亡率があります。これは、妊娠中または分娩後42日以内の母体=女性の死亡数で、出産数(正確には生きて生まれた赤ん坊の数)10万に対して、年間何人の女性が妊娠や分娩を理由に命を落としているかの数で示されます。(少しややこしいのですが、日本など正確な分娩数がある国では、妊産婦死亡率として正確に率を見ていますので、英語ではMaternal Mortality Rate(MMR)が用いられます。Rateとは正確な比率ですが、色々な統計が正確でない開発途上国では、日本語では同じ妊産婦死亡率に対し、Maternal Mortality Ratio(こちらもMMR)とする、やや大雑把な割合を用いています。)そして日本のMMRは2か3に対し、世界ではまだ100の桁の国も多いのです。

いくつもの国をめぐり歩くようになって、沢山のネコ写真を撮るようになった気が付いたのは、激しい紛争が数年以上も続いているような地域では、ネコだけではありませんが、動物の姿を見ることが少ないのです。もちろん、ネコは夜行性動物ですから、気温40度以上の砂漠地帯で、マッ昼間に猫がウロウロすることはありません。が、夕暮れ時や朝方でもネコの姿を見かけることはほとんどないのです。そして、2, 30年前、U5MRが数百という国が稀ではなかった時代ですが、ガリガリのネコが、ふらふらとさまよっているのを見るのは、そのような国でした。そして、先週のフィリッピンネコのような状態がみられる場合は、U5MRが100~200といった様子でした。つまり、治安の補償されない状態では、ネコはいない、ガリガリネコがいるところでは、1,000人の赤ん坊のうち、2, 300人は5歳までに命を失う…という次第です。

ネコと一緒にするな!!とおしかりを受けそうですが、実は何か一定のものに焦点を当ててみていると、少しずつですが、それぞれの国や地域の違いに気が付きます。

ワタクシ的な評価水準がネコの栄養状態でありますが、もちろん、これをもとに交渉したり企画したりすることありませんでした。久しぶりに、知人の指摘から、懐かしいネコ指数お思い出した次第です。

“Cat’s index ネコ指数” 2015/2/23のブログはこちら