[会長ブログ ― ネコの目]
高齢社会と日本財団在宅看護センターネットワーク

米商務省国勢調査局が、2016年3月28日、2015年現在と35年後の2050年の世界の65歳以上人口についての報告書“An Aging World: 2015”を発表しました。これは、アメリカの国勢調査局や国立衛生研究所の統計、また、国連やOECD( Organisation for Economic Co-operation and Development, 経済協力開発機構。日本など先進国が国際経済の協議を目的に設立した国際機関。本部はパリ)などの国際機関の統計をまとめたもので、現在6億1,700万人(世界の人口の8.5%)の65歳以上人口は、2050年に16億人となり、世界人口の17%に至ると予測しています。そして、世界は、これまでにない速さで高齢化しているが、アメリカのそれは他の国に比べゆっくりしているとも指摘しています。

わが国では、1920(大正9)年に始まった国勢調査の第20回目が、昨年2015(平成27)年に実施されました。総務省の要約によりますと、総人口は1億2,711万47人、1920年の調査以来、初めて人口が減少に転じました。ご承知のことですが、各地で高齢社会化が進み、加えて人口比率でみたこどもの数は世界最小です。少産多死社会に突入したのです。ほとんどの府県で人口減少する中、人口がいささかでも増えたのは愛知、滋賀、福岡、沖縄と、3,613万人を擁する首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)だけです。そして、全国の世帯数が5,340万3,226で、前回比2.8%増え、1世帯当たり人数は過去最低の2.38人となりました。つまり単身世帯(私もその一人!!)が増加したのですね。

保健医療体制は、すでに高齢社会対策にシフトされようとしていますが、人々の意識は、そう簡単には変わらないようです。つまり、年をとるということは、明らかな病気がなくとも、徐々に健康水準が低下するのですが、それでも、日々不都合が生じると、病院に行く。もう一度、ピカピカの健康を取り戻したいとの願望が出てまいります。

しかし、病院は積極的な治療によって、明らかな「病気を治す」ことを第一義にしています。徐々に衰える、いわば生理的ともいえる健康の衰えは、どうしても防げない事態であり、それは、ある種の障害においても同じことと申せましょう。つまり、まったく異常がない状態に戻すことはできないけど、今ある状態を「上手に」受入れられる支援が必要であり、一方、病院も「治す医療」だけでなく「(病気を)治し、(どんなレベルであれ健康と生活を)支える」システムへの転換が、そして社会も、さまざまな健康状態を、適切に支援できる制度体制を構築し、お互いに、上手く共存できるようにならねばならない時代になったと思います。

かつてはバリアフリーが、最近では包括的(インクルーシブ inclusive)などの言葉も使われますが、生物は生まれ、成長発達し、やがて衰えて死ぬのです。万物の長である人間は、生殖期間の後も長生きできるようになった、それは素晴らしい進化だと思うのですが、生物としての老齢期を上手に過ごすことが下手くそなのでしょうか。

笹川記念保健協力財団では、日本財団の支援を受けて、2年前から、地域の保健サービスのハブとなりうるような、さまざまな保健専門家による多職間協力をベースとする在宅看護センターの管理者となりうる起業家看護師の育成を支援しています。と、大げさに申すのは、ちょっと気恥しいのですが、そもそも看護師の資格さえあれば、一定の条件を満たせば、在宅あるいは訪問看護センターを開業することはできます。しかし、今後急速に進行する超高齢社会を想定して、一定地域の人々に、365日(今年は366日ですが)24時間、きちんとしたケアを保証できる、それを何年にも継続できる・・利用者である住民だけでなく、企業家として、一緒に看護力を発揮すべきスタッフだけでなく、協力して下さる各種リハビリテーション専門家、栄養、薬剤、その他さまざまな職種と方々にもきちんと責任を持てる、そのような覚悟を確立するための研修でもあります。8カ月は長い、とも申せますが、研修が終わってみると、必須の期間であったと、ほとんどの修了生がおっしゃいます。

研修プロジェクトを始められたのは2014年6月、まだ、2年にはなりませんが、既に15カ所で、しっかりと稼働しています。

現状は、まだ、医療施設から退院された方々のケアに終始しているのですが、近い将来、地域の人々が、それぞれの健康を語り、それらすべての人々の健康を護る拠点として、看護師の力が活用されることを確信しています。

16-04-11 公2在宅地図