[会長ブログ ― ネコの目]
夜明けの銃声

夜明け前の静寂の中で、パンパンと乾いた銃声が響く。しばらく続いていた街の不穏な様子から、またムジャヒディーン(イスラム戦士)グループ間の抗争が再燃しているらしい噂はあったが、夜明けに何かが起こることはめったになかったから、ちょっと動機する。厚い破風扉の隙間から差し込む鈍い明かりが、今日も暑そうだと告げている……

今から27年も昔、ちょうど6月の末、当時勤務していたパキスタン ペシャワールでの出来事を時折夢に見ます。暑さのせいではなく、汗をジットリとかいて。久しぶりに、生々しい夢でした。

あの年…1989年はとても異様でした。当時、街の周辺にはたくさんのアフガン難民キャンプがあり、伝統的な服装の髭もじゃ男性が闊歩していました。古来、東西文明が交じるシルクロードの旅籠街ペシャワールは、なかなかに趣ある地であり、特にキッサハニ(吟遊詩人)バザールとよばれる大通りは、紛争さえなければ、旅情をそそる一帯でした。イスラム文化圏ではありましたが、それよりももっと古来の風習が強いような気もしました。が、その年は4月頃から異様に緊張感があり、午後4時頃にもなると、人影が少なく、まして女性がうろつくことは絶対にありえない状況でした。なのに、新たにできた隣町で、道の側溝で全裸の女性遺体が見つかったり、保健医療分野で活動していたアフガン人スタッフへの襲撃が続いたりしました。母子保健で協力していた二人の医師が、1カ月の間に、共に襲撃され、命を失いました。なぜ、こんなことが起こるのか・・・自分の身の安全もありましたが、蜂の巣のように…という表現が相応しいA医師の遺体を前に、私は、茫然自失でした。そして、今でも、それを思い出すと、手が震えます。

昨夜、眠る前に見た海外情報に、世界の避難民数が6,000万人を超えたとありました。地球上の人口72億とすると120人に1人が避難民という、未だなかった事態が起きているのです。わが国の世界最速の超高齢化も深刻な問題ですが、戦いや自然災害による避難民の増加も世界的には無視できないレベルに至っている、そんなことを思いながら眠ったことが、ペシャワールの夢につながったのかと思いながら目覚めましたら、トルコ イスタンブールのアタチュルクッ国際空港で、30人以上が死亡し、150人が負傷するテロらしき事件の報道。

人々は、なぜ、戦うのでしょうか?
貧しい国…地域の、貧しい人々が、なぜ、銃を手にするのでしょうか?