[会長ブログ ― ネコの目]
益城町のだご汁

日本財団笹川陽平会長を見習ったのではありませんが、しばらく海外に参ることが続きました。ブログが滞っているのは、それが理由ですという云い訳は、連日ブログが新しくなる会長を見習ってはいないのですが・・・・

「日本財団在宅看護センター」起業家育成事業の3期生たちも、あと1カ月余の後期講義を残すだけ、ボチボチ、具体的な開業日程が出てきた方もあります。今回は、最後の現地研修として南九州の3カ所ですが、研修生ご一同の表情が、どんどん変化する過程をうれしく拝見しています。

まずは、鹿児島から医療のイノベーション的発展ののろしを上げ、実践に成果を積んでおられる医療法人 ナカノ会の在宅看護を含む広範な地域医療の実態を見学させて頂きました。早朝8時前の中野先生以下のスタッフはフル稼働、事務所での打ち合わせ、在宅看護の実践のシャドウイング(4名)、ケアタウンの見学、3名の栄養士ドノがおられるとか、とてもおいしいランチを提供して頂きましたが、夜の懇親会を含め、12時間余、先生自らの説明に、皆、やや目が点・・・でした。今や、しっかりと根付いてきた、cureとcareの中野理論(『在宅医療が日本を変える-キュアからケアへのパラダイムチェンジ―“ケア志向の医療-在宅医療”という新しい医療概念の提唱』の第2版を脱稿された由)を肌で感じ、脳で理解できた一日でした。

翌日は、鹿児島から、文字通り霧に覆われた霧島を抜ける2時間余のバスの旅で宮崎へ。

日本初のホームホスピス「宮﨑かあさんの家」です。これまた理事長市原美穂氏による在宅ケアのイノベーションです。自宅で最後も迎えたい人がイッパイいる!!との調査結果は耳タコです。ならどうする??を実践しておられるのが「かあさんの家」、市原氏は、ご自分を普通のオバサンと仰せですが、その理念の崇高さと実践力の凄さに圧倒されます。3カ所のホームホスピスを見学させて頂きましたが、スタッフご一同の何気ない雰囲気中の細やかな気配り、穏やか動作こそ、かあさんの家が、人々にとって真の終の棲家…でなくホームになっていることを実感しました。私自身、独居老人なので、このような雰囲気の中で最後の日々を送れることもあり!との安心感までいただきました。

少々強行軍ながら、同日夕、また3時間余のバスの旅。熊本に到着しました。ここでは4月のあの異様な強烈地震後、現地で各種支援を繰り広げている、私どもの親財団でもある日本財団熊本事務所を頼りました。これまでの状況を梅谷事務所長からうかがい、身体のほぐし体操や足浴など、高齢者の多い被災者への細やかな接触と通じたみまもりを継続しておられる現地NPOコレクティブの指導での実践、そして仮設住宅の訪問です。

私自身、阪神淡路大震災の被災家族でもありますし、また、長らく災害救援にも携わって参りましたが、それぞれの災害はそれぞれ別の顔を持っていることを改めて実感しました。仮設住宅が延々と続くのではなく、精々数十軒が周囲の住宅地の中にあるこの地の7カ月後の状況は、一見、落ち着いて見えますが、被災者数が少ないこと、さらに高齢化著しいことからくる問題は多岐にわたるようにも見えました。

その中で訪問させて頂いたお宅で、95歳の高橋トキ子さま、お料理の達人、美味しいお漬物をつまみ食いした後、レストランでは味わえない絶品のだご汁【注】を全員、仮設の狭いお台所で、立ち食いさせて頂きました。「今日は失敗作・・」だそうでしたが、避難できたことは有難い、狭いけど問題じゃぁなかと、屈託なく大笑される明るさには、死をみとる場にはない生の活気が漲りました。今日一日、残っていますが、3日間、何とも充実した研修です。

だご汁名人高橋さまと

だご汁名人高橋さまと

クマモンも一緒

クマモンも一緒

【注】 だご=団子。小麦粉を練ってちぎった団子を汁にした熊本の郷土料理。昔、農繁期などに農家で、準備や食事時間を節約するために作られたとされる家庭料理。団子中に色々なものが入る場合もある。地域によって特徴があり、基本的には豚肉、しいたけ、ゴボウなどの根菜が入った味噌仕立てだが、海岸地帯で貝や魚介類の入ったおすましもある。