[会長ブログ ― ネコの目]
ジェンダーと適性

「性別」などというと、それ自体がいささか扱いにくいものになっているような気がする昨今ですが、私が、おや?と思った二つ三つの事例です。

現職として初めて広島を訪問され、わが国の現職首相初のパールハーバー慰霊にも同行されたバラク・オバマ大統領の任期が間もなく終ります。大統領よりも人気が高いミッシェル・オバマ ファーストレディの役割も終わりますが、その公的な最終スピーチが現地時間1月6日、ホワイトハウスイーストルームでありました。2017年度学校カウンセラーの表彰式でした。私はファーストレディのフォロワーではありませんが、ヒラリー・クリントンの応援のための演説のいくつかを聞いたり読んだりした限りですが、この方は知性や教養、殊に人間としての品性やモラルを大事になさっていると理解しています。最後のスピーチは、「勇気をもって挑戦しなさい!」と、若者に語り掛けるものでしたが、教育に熱を入れてこられたこともあって、さすがに感極まった風でありました。お人柄を感じた最終スピーチに、周囲の方も涙でしたが、私が、おやまあと思ったのはファーストレディの後ろに並んだ2017年の表彰者です。40数名中男性がたった一人、ちょっと冷やかされるシーンもありました。逆に男40名に女性一人だったら許されるのだろうか・・・と、深読みし過ぎでしょうか?

次は、医師の性別と入院1カ月内死亡と再入院の差に関する論文。有名な医学雑誌JAMA Intern Med.の2016年12月19日号の論文(doi:10.1001/jamainternmed.2016.7883)は、入院患者1,583,028人(平均年齢80.2歳、男性621,412人、女性961,616人)の入院後1カ月間の死亡と再入院数を分析しています。よくある病状や重症度を考慮しても、女性医師担当の方が、患者の1カ月内死亡は男性医師担当より少なく、また、再入院も少ない・・・高齢者の入院は女性医師による治療の方が良い結果につながるとしています。ただし、一方では、女性医師は、男性同様に昇進していないし、同じ程度の収入も保証されていないとの報告もあります。

最後はかなり前の情報です。「医学界新聞」という業界紙があります。ビビッドな情報が多く、私は何十年も愛読しています。その2014年11月10日(第3100号)-2015年11月16日(第3150号)の間、11回連載された川越正平先生(青空診療所院長・理事長)と澤憲明先生(英国・スチュアートロード診療所General Practitioner。連載当時)のクロストーク『日英地域医療』という長い対談の連載です。その第2回([連載] クロストーク 日英地域医療(終了)(2))第3回([連載] クロストーク 日英地域医療(終了)(3))は、地域医療における看護師の役割でしたが、家庭医制度が整備されている英国では、糖尿病や高血圧症の安定期には訓練を受けたナースプラクティショナーと呼ばれる看護師が対応するそうで、地域の診療所には、沢山の看護師外来診察室があること、そして患者の満足度は時に医師を凌駕するとの澤先生の言葉がありました。医師はオトコ、看護師はオンナ・・・などという時代ではありませんが、イスラム圏を除いて、まだ、看護師は女性優位の仕事である国や地域は多いと思います。その看護師の診察管理が医師よりも評判が良いとのこと。

真理やsomething unknown(未知)を探求すべき学問の府である大学は別として、基礎知識の習得、考える力の涵養とともに、人間としての基本的品性を獲得すべき時期である小中学校の子どもや思春期前の若者のカウンセラー、つまりこどもの心身のケアや高齢者あるいは長きにわたる病的状態と共生しなければならない人々の心身のケアは、(誓って申しますが、毛頭、男性を排除する気はありませんが)あるいは女性に適した仕事なのかなと思いました。