[会長ブログ ― ネコの目]
「ネコ」の狂「犬」病 

私ども、笹川記念保健協力財団は、1986年4月に発生したチェルノブイリ原発事故(現ウクライナ)に対し、膨大な医療的かつ人道的支援を行いました。現在も、放射能の影響で発生した甲状腺がんの資料を管理し、世界の研究者が活用できるチェルノブイリ組織バンク (Chernobyl Tissue Bank)という稀有な学術機構を支援しています。毎年、年一度の会議に今年もロンドンに参りました。

キャサリン妃が第三子であるルイ王子をご出産、ハリー王子とメ―ガン妃やユージェニー王女の結婚とお目出度続きの王室でしたが、目下のTVや新聞では、BREXIT(英国のEU離脱)のニュースが目立ちます。その中で、おやまぁと思ったのが、モロッコに旅行し「ネコ」に咬まれた後、狂「犬」病を発症して亡くなったイギリス人の報道です。

英語ではRabiesと呼ばれるこの病気を、わが国で狂「犬」病と呼ぶようになったのは、異様な様相の犬がうろついてことからでしょうか? 人と動物の共通感染症研究会のホームページ に詳しい記載があります。

かつて住んでいたアメリカのノースカロライナ州では、タヌキ、アライグマが危ないとか、こうもりも・・・とか、大自然に囲まれた小さな住宅地では、みだりに自然の中の動物をさわらないようにと、子どもに注意していました。

この病気、ラブドウイルス科リッサウイルス属狂犬病ウイルス(Rabies virus)の感染症、そして人間や多種の動物に発症する人獣共通感染症です。感染した動物が水を怖がるので、恐水病とも呼ばれましたが、音や光、風にも敏感になる、つまり感覚が超々敏感になり、それらが引き金で痙攣が起こる・・・発症者を見たことはありませんが、破傷風では、光で激しい痙攣が誘発されるのを、ある国でみたことがあります・・・そのようなものかと想像します。

この病気は、未だに毎年、世界で何万人もの死者を出しています。わが国など、いわゆる先進国では、ほとんどが輸入例(この病気が多く残っている国での動物咬傷後、帰国して発症する)です。わが国でも、2006年に二人がフィリピンで犬に咬まれ、帰国後、発病して亡くなっています。ヒトからヒトへの感染はありませんが、もし、発症している人が他人に咬みついたらどうなるのでしょうか?

いずれにせよ、犬だけでなくネコもタヌキも、アライ熊もキツネも、多くの動物が感染すること、今、アフリカのコンゴ民主共和国で広がっているエボラウイルス病は、その広がり方と高い致死率(かかった人の内、どれくらいの比率で死亡するか)が問題ですが、狂犬病では、明らかに感染し、未治療では100%の致死率という危険さです。

が、この病気は、かのパスツゥールのお陰で、とても有効なワクチンがあります。

予防注射がとても有効、ほぼ発症を防げます。が、万一、動物に咬まれた際には、通常、短くても1,2週間という発症までの時間がありますので、出来るだけ早く、抗ウイルス抗体(治療薬)をうけることで発病を免れます。

滅多にないことなので、新聞記事になったのですが、The Timesの記事も・・・

Times の記事

Times の記事