[財団ブログ ― ハンセン病]
生きることに一生懸命な、美しい国・バングラデシュ

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バングラデシュに入って最初に驚いたことは交通渋滞でした。首都ダッカを特徴づけるものとして、よく交通渋滞が挙げられることを思い出しました。仕事で移動のときには必ず渋滞に合い、初めのうちは、「すごい渋滞。どうしてこんなにも渋滞になるのだろう。」と漠然と思っていました。
滞在から1週間ほどが過ぎて、地方へ移動し、私たちが協力しているLEPRAの実施する包括的自立支援事業を視察したときでした。受益者である一人のハンセン病回復者に会いました。少額融資を得て、リキシャを購入したそうで、購入したリキシャを誇らしげに見せてくれました。リキシャは、自転車の後輪が2輪になっていて、後ろに客を乗せられるように座席がついたもので、3輪型の自転車といったような乗り物です。「働くことができるから幸せだ。収入を得て、家族を養っていけるから嬉しい。」と笑顔で話してくれました。彼の手をみると、ハンセン病の後遺障がいのために、きちんと動く指は3本しかありませんでした。そんな障がいの残る手で、どうやってハンドルを掴み、身体を支えながら、後に人を載せて重くなった荷台のあるリキシャをこぐことができるだろう、と胸が締め付けられるような思いがしました。生きるために、残された3本の指でも、器用にハンドルに手を載せて身体のバランスをとって、リキシャをこぐのです。1日、約200円ほどの収入を得られるそうです。そのお金で、妻と自分の食事代に当てて、生計を立てているのでした。日本であれば、障がい者として、もっと楽な身体に負担のない仕事に就いていることと思います。また、彼は65歳以上の高齢でもあったので、障がいのある高齢者として、家族や子どもたちと暮らし不自由のない生活をしていたことと思います。しかし、今なお、妻と自分の生活のために、必至に働いているのでした。
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バングラデシュの大きな通りでは、いつもたくさんの車が走り、道路はバスや車で溢れんばかりでした。車を運転することも怖くなりそうな混雑する道の中に、よく見ると、リキシャが何台も走っていました。「交通渋滞は、車と同じ道をリキシャも一緒になって走っているから、余計にスピードが遅くなり渋滞を招くのだ」と教えてくれた現地の方もいました。リキシャは、車と同様に1台分のスペースをとって走っています。車と同じように早く走ろうと、必死にペダルを踏むリキシャこぎの方々の姿も見えました。バングラデシュの交通渋滞がリキシャのようなさまざまな初歩的な車も混じって走っていることが原因の一つであることに気が付くと、この目の前の渋滞も、渋滞の中の喧騒も、一生懸命にひたむきに生きる庶民の一人一人の熱情のように感じ、とても美しくみえてきました。
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訪れた村のどんなに貧しい人も、生計を立てることに一生懸命でした。生きることを諦めてしまいそうなほどの貧しさに負けず、必至で生きようとする心の強さに、バングラデシュに生きる人たちの美しさを感じました。(T)