[財団ブログ ― ハンセン病]
マレーシア・スンゲイブロー療養所における入所者の体験談集

マレーシアの首都クアラルンプール郊外にあるスンゲイブロー療養所は、1930年に設立され、当時英領諸国の中で最も大きく且つ近代的な療養所でした。同療養所の際立った点は、近代的な建物と風光明媚に整えられた環境にありましたが、さらに、そこで行われたさまざまな治験から、研究の中心地として世界的に有名でした。当時最も多いときで約2,000名の入所者がいましたが、現在では高齢化が進み、300名弱に減少しています。
2005年、マレーシア政府はその土地を新しい医学研究施設用地とすることを発表しました。建築学者Lim Young Loong氏は、その高い建築学的価値に着目し、同療養所の取り壊しに反対を表明し、これをきっかけに、マレーシアの青年学術層を中心に同療養所を保存するための社会活動が始まりました。こうして立ち上がったグループが、Save Valley of Hope Solidarity Group(SVHSG)です。SVHSGの熱心な活動にもかかわらず、2007年には療養所の東棟が取り壊しになりましたが、2011年には療養所の一部の建物については国の文化遺産として残されることが決定しました。
本書は、そのような運動を背景として、療養所で暮らす入所者の方々の人生を、将来世代に伝えようと、SVHSGのメンバーが制作したものです。同書には、編者の一人であるChou Wen Loong氏が彼の生徒と共にOral History(口述歴史記録)の手法を用いて書き留められた9名の入所者の方の体験が、写真や遺品などともに掲載されています。また、現在では取り壊されて無くなってしまった療養所の東棟の写真も収録されています。療養所に生きる方々の人生を歴史的背景と共に描くことにより、ハンセン病隔離政策の意味を問いかけ、入所者の方々の人間としての尊厳を訴えかけています。
本書を読まれたい方は、編者・出版社(fengxia.concept@gmail.com)へ直接ご連絡ください。なお、本の目次は、発刊ニュース: https://www.smhf.or.jp/news/index.html#news109より、PDFにてご覧いただけます。(T)
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翠鳥虫鳴希望人間
英名: “A Valley Where Birds and Insects Sing for Hope: Stories of Sungai Buloh Leprosy Settlement”, Compiled by Chou Wen Loong & Loh Choy Mun, Save Valley of Hope Solidarity Group, Malaysia, 2011