[財団ブログ ― ハンセン病]
歴史保存ワークショップ

10月24日、25日の2日間にわたり、東京の国立ハンセン病資料館にて、ハンセン病の歴史保存ワークショップが開催されました。
ブラジル、マレーシア、フィリピン、台湾でそれぞれの歴史保存に取り組む当事者と、オーストラリアのハンセン病の歴史専門家の合計15人が参加した今回のワークショップでは、初日に日本をはじめ、ブラジル、マレーシア、フィリピン、台湾の歴史保存の取り組みを発表し、2日目には、歴史保存に関わる重要なポイントについての協議が重ねられました。
写真.JPG
政治、文化、風習などさまざまな要素が織り込まれてできた歴史は、また、語り手によっても大きく視点や語るものが変わってくるものでもあります。
国立ハンセン病資料館の前身である、高松宮記念ハンセン病資料館は、国立ハンセン病療養所全生園の入所者の方たちが、自分たちの歴史を風化させないという思いで立ち上げられたものでした。
1996年のらい予防法の廃止、2001年のハンセン病違憲国家賠償請求訴訟とその勝訴により、日本のハンセン病を取り巻く状況は大きく変化を遂げますが、国家と国民はハンセン病とその病気にかかった人たちに何をしてきたのかを伝え、ハンセン病だけではなくその他の社会的な問題に対する私たちの姿勢を問い直し、現代そして後世に活かすための、学びと問いかけの場所として、2006年に高松宮記念ハンセン病資料館は国立ハンセン病資料館としてリニューアルオープンしました。
現在の国立ハンセン病資料館は、回復者の視点を中核に人権回復の闘いの歴史や生きた証をを語りながら、この病気や患者・回復者に対する長期にわたる苛烈な偏見や差別を可能とした政策や国民の反応が展示されています。
フィリピンのクリオン島はアメリカ統治下に作られた世界最大のハンセン病隔離施設。そしてマレーシアの首都クアラルンプールに近いスンゲイブロー療養所は、英国植民地最大、世界では2番目に大きいハンセン病療養施設でした。この2箇所では、笹川記念保健協力財団の支援により、記録、文書、写真、民具などの収集と保存が行われました。
クリオンでは2006年に旧研究棟を利用した資料館がリニューアルオープン。
スンゲイブローでは2013年3月に資料館がオープンする予定です。
ブラジルでは全国ハンセン病回復者ネットワークMORHANの創設者であるフランシスコ A.V.ヌーネスを記念した資料館はありましたが、初のハンセン病資料館を設立するにあたり、現実的な協議段階まで来ています。
台湾では日本統治下で作られたハンセン病療養所楽生院が、土地開発のために取り壊しが行われ、入所者や多くの支援者を巻き込んで、大規模な反対運動が広がりました。現在は歴史保存をどのように考えるかという協議が行われており、資料館の設立が考えられています。
準備段階である台湾やブラジル、一定の取り組みが行われているフィリピンやマレーシア、専門の学芸員が回復者の意思を活かしながら運営する資料館を持つ日本と、歴史保存におけるそれぞれの段階は異なりますが、歴史の語りの主体、語りかけの対象、伝えるメッセージなどの共通項目、各国での近未来の歴史保存の計画、国境を超えて目指す歴史保存の方向性などが協議され、充実した2日間になりました。
集合写真東京.JPG