[財団ブログ ― ハンセン病]
ガーナの啓発活動②

ガーナの回復者団体IDEAガーナの啓発活動については、2012年5月11日のブログ(ガーナの啓発活動)でもご紹介しましたが、2012年度も笹川記念保健協力財団の支援で、6月、9月、12月の3回にわたり、アッパーイースト州、ノーザン州の合計14の村で啓発活動が行われました。
ガーナではハンセン病にかかると、偏見や差別のため、治療が終わっても家族と暮らすことはできず、「ハンセン病キャンプ」に、同じ病気を持つ人たちが集まって暮らしています。
IDEAガーナは、ハンセン病の正しい知識を届け、誤解に基づいた偏見を捨て、回復者を受け入れることを訴えてきました。
その活動の成果は目覚ましく、1つの村あたり1日の啓発活動が終わると、回復者の多くが家族や隣人に受け入れられるようになります。その成功のカギとなっていたのが、酋長(伝統的首長、チーフ)の協力にありました。
ガーナの酋長は非常に大きい影響力を持っています。村や町にそれぞれ酋長がおり、村や町の人たちは、何か問題があると、酋長に裁定を求めます。
その酋長たちが集まり、州を代表するパラマウント・チーフが各州5名(全10州)選出され、そのパラマウント・チーフをまとめるハイ・チーフが各州1名選出されるそうです。各州を代表するハイ・チーフの影響力は絶大です。
IDEAガーナは、人々の考え方、行動に大きな影響力を与えるハイ・チーフの協力を得ることによって、ハンセン病について多くの人の考え方を変えることに成功しました。
ガーナの中でももっとも開発が遅れていると言われているノーザン州は、メディア普及率も低く、一般の人はハンセン病に関する情報をほとんど持っていません。
そこで、ノーザン州のハイ・チーフであるババ ムスタファに啓発キャンペーンの協力を依頼しました。
ハンセン病の問題を知り、偏見が病気に対する誤解から生まれ、病気にかかった人たちが差別のために、一市民として誇りある生活を送ることができていないことを知ったババ ムスタファは、IDEAガーナの啓発活動に協力することを約束しました。
多くの人が集まった集会で、ババ ムスタファが人々に話をします。
「ハンセン病は治る。早く治療をすれば障がいも残らない。一人の人間として、差別をすることは許さない」
そして、その集会に来ていた回復者たちと握手をします。
それを見ていた村人たちは、その姿を見て驚きました。
「ハイ・チーフの言うことだ、正しいに違いない。ハイ・チーフは握手までしている。病気はうつらないと言うじゃないか。この私たちが、障がいが残っているからと言って、忌み嫌っていいはずがない。我々は誤っていた」
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ハイ・チーフの話の後に、IDEAガーナの啓発メンバーも話をします。
自分たちの障がいを見せ、「私たちは病気について知らなかったり、そして家族が隣人たちに家族にハンセン病の者がいると知られたくなかったからといった理由で、早期に診断を受けて、治療を開始することができなかった。この障がいはそのために残ってしまった。でも今では保健所で無料で治療を受けることができる。皆さんに、正しい情報を知ってもらいたい。そして恐れないでほしい。ハンセン病は恐れる病気ではない。それから病気にかかった人たちを避けず、受け入れてほしい」
村のチーフやハイ・チーフだけではなく、女系チーフとして村の生活で非常に大きな権威を持つクイーン・マザーなど、村の人々と強く結び付いている伝統的に強い影響力を持つ人物の協力を呼び掛けたところに、IDEAガーナの大きな成功のカギがありました。
IDEAガーナはあと1年間この啓発活動を続けます。その後は、確実のIDEAガーナのメッセージが届いた人たちが、自主的にそのメッセージを他の人に伝えていくことが期待されています。