[財団ブログ ― ハンセン病]
「スンゲイブローの子どもたち」完成

1930年に設立されたマレーシアのスンゲイブロー療養所で生まれた子どもは、ハンセン病の感染から予防するという名目のもと、
誕生直後に両親のもとから引き離され、所内の乳児院で育てられました。
乳児院にいられるのはわずか半年。この半年の間に、両親は子どもを預ける先を見つけなくてはなりません。
親戚に預けることができる数少ない夫婦は幸運でしたが、多くの子どもは国内外に養子に出され、親子の絆は断たれました。
宗教も文化も言語も異なる家族に引き取られた兄弟姉妹。
高齢化が進む入所者の最大の願いは、出生後間もなく連れ去られたわが子との再会。
同時に、両親や兄弟を探し始めた第2世代もいます。
その一人にノラエニさんがいます。
ノラエニさんの養父は、スルタンの運転手。宮殿で過ごした少女時代は幸福なものでした。
自分が養女であることは知っていましたが、養父母への配慮から、実の親の所在は探しませんでした。手掛かりが出てきたのは、養母の死の翌日。
書類を整理していたところ、養子縁組の書類が出てきたのです。
そこに書かれていたのは、両親は華僑で、スンゲイブローの住人であるということでした。
家族が全面的に応援をしてくれたおかげで、ノラエニさんの実の親捜しが始まりました。
スンゲイブローの引き裂かれた親子の絆を取り戻すための活動をするイーニー・タンさんと出会ったのがこの頃です。
療養所の記録、州で保管される誕生記録などさまざまな記録をたどった結果、
自分には姉がいること、父親はすでに退所していること、母親は死亡していることが分かりました。
姉と父親の所在は、いまも分かりません。
しかし今も支えてくれる家族と、母の墓前に集まることができました。
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ノラエニさんとタンさんは2年の歳月をかけて、書き上げた本が完成しました。
タンさんはこの本についてこう語ります。
「ハンセン病にかかっている人も少なくなりました。この本は、病気についての正しい知識を
伝えることができると思います。恐ろしい病気ではない。遺伝もしない。簡単には感染しない。
でも私たちは、親から引き離された第2世代に、まだ親を探す勇気のない第2世代に、こう伝えたいのです。
『恐れないで。あなたは捨てられたのではない。隔離政策のために、引き離されてしまったけれど
あなたのことを愛した親がいる。希望を持って生きてほしい。あなたは一人ではない』」
マレー語で書かれたこの本「スンゲイブローの子どもたち」の正式な発表が、
スンゲイブロー療養所で4月5日に行われます。

http://www.thewayhome.my/Events.html

(星野)