[財団ブログ ― ハンセン病]
入所者協議会に新しい力(マレーシア)

マレーシア最大のハンセン病療養所スンガイブロー。

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創立80年を超えるスンガイブロー療養所には、1950年代から入所者による自治組織、スンガイブロー評議会(カウンシル)がありました。評議会は、日本でいえば各療養所自治会に相当します。いま、この7月19日(土)に、設立以来初めて、非入所者を評議会に受け入れる規約改正が成立し、これまで入所者に限定されていた指導部に「外部」から新しいメンバーを迎えることとなりました。

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選出された新指導部メンバーの記念写真

新しく評議員に選出されたのは、若い女性2人-ジョイス ウオン(Joyce Wong: 後列右から2番目)さんとイーニー タン(Eannee Tan: 後列右端)さん。
ジョイス ウォンさんは​、​会計士の資格を持ち、​​クアラルンプールで働いてい​ます​​​。ジョイスのルーツは、スンガイブロー療養所からほんの少し外側の村。療養所の中では子どもを産み育てることが叶わないことを知っていた両親が、脱走して、家庭を持ったからでした。今は、両親は療養所に戻り、生活を続けています。2007年、スンガイブロー縮小問題が社会問題となった頃、ジョイスは友人たちと一緒に、スンガイブローとそこに生きた人々を取材して、Valley of Hope (Book review- See pg. 4)という書籍にまとめて出版しました。しかし、ジョイスの活動は、それだけでは終わりませんでした。2010年 第二世代が、『スンガイブローの第一世代に感謝する第二世代の会』を開き、広く世間にハンセン病を生き抜いた人々の強さと優しさを公開しました。『今さら何故?』『そっとして置いて』との声が、第二世代の仲間からも起こりましたが、ジョイスがこうした活動を続けた背景には、両親やその仲間たちが〈ハンセン病患者〉というレッテルをはられて一生を終えてはならないという強い思いがあったのではないでしょうか。
もう一人の新評議員イーニー タンさんは、もともとマレーシアの中国系報道機関の記者でキャスター。スンガイブローの縮小問題をニュースとして取材する中で、ハンセン病問題の深さと人々の生きざまに触れました。入所者たちに身近に接するうちに、残された問題、特に家族の絆の回復の重要性と緊急性に気づき、キャスターの職を投げ打って、小さなNGOを立ち上げ、エネルギッシュに活動を続けています。(参考:家族再会のための活動)イーニー タンさんは、すでに中国語、英語、マレー語で、マレーシアのハンセン病問題と家族の絆を求める第一世代と第二世代の姿を描いた本を出版し、この問題をインターネット上のミュージーアムで公開するだけでなく、全国各地の中学、高校でも対話集会を開いたり、学生たちと入所者の交流の機会も提供しています。何よりも、こうした彼女の熱心な活動が入所者たちに支持されて、今回の評議員選出につながったと思います。
回復者の高齢化が進む中で、ハンセン病問題の命題を未来に引き継ぐことは、世界のどの国も直面している課題です。マレーシアは、この問題に自らの答えを出したのでしょうか。私たちはこうした歩みを期待を持って見守っていきたいと思います。