[財団ブログ ― ホスピス緩和ケア]
「平穏死のすすめ」講演会

9月13日(日)、テクノプラザかつしか(東京都葛飾区)で開催された、「いのちを考える市民講座」へ参加しました。この活動は、当財団の地域啓発活動助成を受け実施されています。

当日は、250名が参加し大変盛会でした。記念講演では特別養護老人ホーム・芦花ホームの常任医師であられる石飛幸三先生が「平穏死」についてお話下さいました。

芦花ホーム(東京世田谷区)では、希望される方へ看取りの介護を提供しています。入居者の平均年齢は90歳で、9割以上が認知症です。石飛先生は50年間、消化器外科医として毎日が戦場のような多忙な日々を送っていましたが、10年前に芦花ホームに来られ、これまで300名の方を看取りました。病院勤務時代には経験できなかった平穏な死があることを芦花ホームに来て初めて知ったそうです。

先生は、「無理な延命処置」をしないほうが楽に逝けるとおっしゃいます。特養に勤務するにあたり、終末期の患者の苦痛軽減のため、医療麻薬について学びましたが、これまで一度も使用したことがないそうです。なぜなら終末期の方が苦痛を訴えないからです。医療行為の介入がなくとも人は自然に穏やかに亡くなるということを入居者の方から学んだそうです。

高齢になり認知症を発症すると口から食べることが困難になり、誤嚥による肺炎を起し易くなります。口から食べることが難しいと判断されると、チューブを通して栄養を体に入れる、経管栄養や胃ろうという医療措置がとられます。はたして機械のように一定量の栄養を決まった時間に体に入れることが、本人にとって良いと言えるのだろうか?医療介入によりかえって苦しめていないだろうか?と先生は参加者へ問いかけます。

これまでの医療は、病気を治すことに主眼をおいてきましたが、老衰に伴う病態の多くは元に戻ることはありません。いつか迎える人生の終末に、医療はどこまで介入すべきか、認知症になったとき、口から食べられなくなったとき、自分はどのようにしたいのか、日頃から家族や親しい人と話し合うことの大切さを改めて感じました。

「いのちを考える市民講座」は、今回2回目を迎えました。また次回に向けて活動を継続する予定であり、今後の活動に注目したいと思います。(中村)


2015市民講座 039 (2)
2015市民講座 050