[活動レポート ― ハンセン病]
バングラデシュ栄養教育

バングラデシュは、1998年に公衆衛生上の問題としてのハンセン病の制圧を達成しているものの、毎年約3,000人強の新たな患者が出ており、ハンセン病はいまもなお大きな問題となっています。また、同国における国民の栄養状態は悪く、全国の5歳以下の子どものうち36%が栄養失調です(1996年は60%)。低栄養はハンセン病の臨床症状に大きく影響するリスク要因であり、病気の感染・発症を防ぐためにも、バングラデシュにおいて国民の栄養状態を改善することは重要といえます。

 

このような背景の中、2017年7月よりバングラデシュ北部の古都ボグラ県のハンセン病定着村において、Lepra(レプラ)(注1)を通じてBogra District Federation(ボグラ地域連合)(注2)によって、ハンセン病回復者や障害者、特に女性や子供達のために活動を行っている自助グループのメンバーが、バランスのよい食事の重要性を学び、栄養がある食事を提供・摂取できるようになることを目的に栄養教育の事業を開始しました。

 

自助グループの勉強会に参加する女性たちとその子供達

自助グループの勉強会に参加する女性たちとその子供達

まず、12ある女性の自助グループの各リーダーたちが栄養教育を受けました。その後、そのリーダーたちが自助グループのメンバーに半年間で860回以上の栄養教育の勉強会を開きました。それには自助グループメンバーだけでなくその家族や近隣の人たちも含めて半年間で4,000人以上が参加しました。最終的には10,000人の人々が栄養教育を受ける見込みです。加えて、野菜栽培とその調理指導教室も半年間で60回開かれ、600人以上が参加しました。こちらも最終的には1000人が受講予定です。

 

この地域では以前は、わずか10%の女性だけが健康的な食事が摂れていたとされていましたが、このような栄養教育を多くの女性たちが受講することにより、自分自身や子供達の栄養について考えるようになり、健康的な食事が摂取できるようになりました。

 

自助グループの女性たちの調理指導教室の様子

自助グループの女性たちの調理指導教室の様子

前述した通り、栄養状態が悪いこととハンセン病に感染することには関連性があるとの研究結果が出ており、今回、栄養教育を学んだ母親たちによって、子供たちの栄養状態が良くなることで、将来的にハンセン病を発症するリスクを減らすことが可能となります。

 

注1:Lepra(レプラ)は、1924年より英国に本拠地をおいてハンセン病関連の活動をしている団体です。モザンビーク、アンゴラ、ブラジル、マラウィ、バングラデシュ、インドを中心に啓発活動、早期発見・治療活動、保健システムの改善等を行っています。

Lepraのホームページ https://www.lepra.org.uk

上記事業の紹介もHPでしています。https://www.lepra.org.uk/nutrition-education-project

 

注2:Bogra District Federation(ボグラ地域連合)はボグラ県を代表するハンセン病の回復者団体です。おおよそ1000人のメンバーで構成する自助グループのネットワークがあり、1か月に2回定期的に会合を持って参加者に新しいスキルを学ばせたり、問題を話し合ったりしています。