[活動レポート ― ハンセン病]
グローバル・アピール2015

「世界ハンセン病の日」サイドイベント活動レポート
当財団では1月に開催した「グローバル・アピール」(主催:日本財団)に合わせてサイドイベントの企画をしました。テーマは「ハンセン病問題を考えよう」、広く一般に向けての啓発が主な目的です。企画に際しご協力いただいた皆様には、厚くお礼を申し上げます。全国から集まったサイドイベントの模様を、ピックアップしてお伝えいたします。

日本財団笹川陽平会長と並んで学生たちもハンセン病問題を考えました (ハンセン病でつながる若者シンポジウム 於:早稲田大学)

日本財団笹川陽平会長と並んで学生たちもハンセン病問題を考えました (ハンセン病でつながる若者シンポジウム 於:早稲田大学)


サイドイベント実施を振り返って
一般公募で集まったサイドイベント23件は、北は宮城から南は沖縄まで全国各地で開催され、参加者総数は2,500名超に及びました。特筆すべきは、今までほとんどハンセン病と関わることのなかった学生や市民を対象とした企画が多かったことです。今回の一般公募によって、これまでほとんど当財団と接触がなかった人々や地域にアプローチできたことも大きな喜びの一つでした。中には大きく新聞等で取り上げられたものもあり、その波及効果は参加人数の何倍にもなると推測しています。
活動内容は様々で、写真展や講演会・シンポジウム、ハンセン病療養所の見学や、冊子・映像の制作もありました。今回のサイドイベント23件によって、多くの人々にハンセン病を知っていただく機会を提供できたと同時に、当財団も新しいネットワークを築くことができました。ありがとうございました。
宮城学院女子大学リエゾン・アクション・センター(MG- LAC)
宮城学院女子大学は、宮城県仙台市にある約130 年の歴史を持つ大学です。今回のイベントは学生が主体となり、学生に自主活動の機会を提供する窓口であるリエゾン・アクション・センターがサポートする形で行いました。イベントは、当財団理事長喜多悦子を講師とした講演会、日本財団所属のフォトグラファー富永夏子氏の写真を展示した写真展、そして宮城県登米市にある国立療養所東北新生園見学の3部構成で行われました。
講演会では「物事を多角的にとらえる」という切り口で、ハンセン病をめぐる諸問題から世界情勢など、喜多のこれまでの経験談を交えた講演を、学生たちは興味を持って聞いていました。アンケートには「世界に関心を持つということが、人への関心を持つことにつながることが分かった。病気、戦争など世界で起こっていることに関心を持ち続けたい。」というような、学生らしい将来に期待させるようなコメントが多く寄せられました。学生企画責任者である作間温子さんからは、「一連のイベントを通して、ハンセン病に罹患したためにそこに押し込められた人々の気持ちに触れ、人間の尊厳とは何かを考えると同時に、入所者たちの『生きる力』に触れることができたと思います。」とメッセージが寄せられました。
入所者自治会長の久保瑛二さんからお話 を伺いました(於:国立療養所東北新生園)

入所者自治会長の久保瑛二さんからお話 を伺いました(於:国立療養所東北新生園)


片野田斉 写真展 「きみ江さん~ハンセン病を生きて~」(2月7日~16日)
銀座にあるギャラリークオリア・ジャンクションで行われた写真展は、東京都東村山市在住の報道写真家片野田斉さんが、5 年間にわたってハンセン病元患者の山内きみ江さんを追い続けた記録の一つの集大成として企画されました。片野田さんが山内さんと関わったこの5 年間は、山内さんが療養所から「外の世界」に飛び出し「普通の生活」に挑戦してきた5 年間でもあります。療養所で長く生活してきた山内さんにとって、「外の世界」で「普通の生活」を送るということはどういうことなのかも改めて考えさせられる写真展でした。銀座という場所柄様々な方が足を運んでくださり、ハンセン病については「知らなかった」という感想が多かったようですが、中には「昔近所にいたんだ」とぽつりとおっしゃる方もいたそうです。片野田さんは「きみ江さんのハンセン病元患者というだけではない、一人の人間として前向きに生きるパワーの強さに触れることで何かを感じて帰っていく方が多かったように思います。」と、写真展を振り返っていました。
山内さんも会場で来場者とのふれあいを楽しまれていました (於:ギャラリークオリア・ジャンクション)

山内さんも会場で来場者とのふれあいを楽しまれていました (於:ギャラリークオリア・ジャンクション)

山内さんからのメッセージ
「大きなイベントに関わることができて、外国の方からも激励をいただき、たくさん記念撮影もできて、とても嬉しく思います。これをエネルギーに、これからもっと活躍したいです!」
音楽座ミュージカル 朗読ミュージカル「泣かないで」(2月15日)
サイドイベント23件の中で最もユニークな企画の一つとなった、音楽座ミュージカルによる朗読ミュージカル「泣かないで」の上演についてご紹介します。音楽座ミュージカルは東京都町田市に活動拠点を置くミュージカルカンパニーで、もともと音楽座ミュージカルが持つレパートリーに、遠藤周作著「わたしが・棄てた・女」を原作にした「泣かないで」という作品があります。この作品は、戦後間もない東京で女子工員として働いていた主人公ミツのラブストーリー、しかしミツはハンセン病と診断されてしまいます。音楽座ミュージカルでは今回のサイドイベントに合わせて「泣かないで」を大胆に朗読劇に編集し、さらにミュージカル上演と併せてハンセン病に関する解説と参加者によるグループディスカッションも行いました。ミュージカルというエンターテイメントだけでは伝えきれない、ハンセン病を知ってもらうという啓発の機会であるということを、しっかり補う企画となっていました。参加者は地元町田市の子どもたちや市民がほとんどで、演技・歌・ストーリーの素晴らしさに感動している様子が多く見られました。グループディスカッションの最後には劇中歌を全員で合唱し、会場全体が一体感に包まれたイベントとなりました。
キャストの迫真の朗読に引き込まれました (於:音楽座ミュージカル芹ケ谷スタジオ)

キャストの迫真の朗読に引き込まれました (於:音楽座ミュージカル芹ケ谷スタジオ)