[活動レポート ― 公衆衛生の向上]
国立ハンセン病療養所医療従事者フィリピン研修2015

世界では年間21万人以上が新たにハンセン病と診断されていますが、日本の年間新規診断患数は数名以下、その大半は外国からの労働者で、日本国内でのハンセン病の診断や治療の機会はほとんどありません。一方、当財団の40年にわたる支援の歴史を通じて深い関係を持つフィリピンでは、2014年度も1,655人の新規診断患者が報告されており、ハンセン病は現在進行形の公衆衛生上の課題です。

この研修では日本のハンセン病療養所の医療従事者の方々を対象に、フィリピンの療養所や皮膚科クリニックでの診断、治療やケアの現場や患者会、資料館の視察を通して、ハンセン病の臨床的/社会的取り組みや歴史保存の動きについての理解を深め、日本が属する西太平洋地域の国際的な保健医療対策を担うWHO WPROでの講義などを通じ、公衆衛生/疫学の観点からハンセン病対策を学び、グローバルな視点を持つ次世代専門家の育成を目的としています。

第2回となる今年度は、11月7日から13日までクリオン、マニラ、セブにて研修を行いました。全国の療養所から、医師、看護師に加え、薬剤師、作業療法士、義肢装具士、介護士も参加。多職種20名での実施となりました。日本ではほぼ新規患者のないハンセン病。その臨床現場をなぜ今、国内のハンセン病医療従事者が見る必要があるのか。それは、差別・偏見の問題や、世界レベルでの対策にはまだまだ日本の関与が必須だからです。研修中、フィリピンの療養所の方々に向けて、日本の現状を医師と看護師各1人が発表する機会もありましたが、参加者からは、日本の経験を世界のハンセン病対策にどう生かせるのか、という声が多く聞かれました。

参加者の声

国立療養所邑久光明園 耳鼻咽喉科  笠井紀夫先生
「後遺症と高齢化という2つの課題と日々戦っている我々は、世界のハンセン病対策に貢献しうる貴重な経験を持っているのかもしれません。フィリピンでの研修は、現地の状況を肌で感じただけでなく、日本から何ができるかを考えるきっかけとなりました。この研修が今後も継続され、多くの療養所スタッフが参加することを願っています。」

クリオンミュージアムにて。この研修を企画・調整い ただいたクナナン医師の解説に聞き入る

クリオンミュージアムにて。クナナン医師の解説に聞き入る